Quantcast
Channel: 馬医者残日録
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1690

橈骨盤状骨折のスクリュー固定

$
0
0

競走馬の橈骨遠位端はchip fracture の好発部位で、関節鏡手術の対象になる。

予後は良好だが、関節の外にまで骨増勢することがよくある。

                     -

この3歳競走馬、橈骨遠位を骨折してしまった。

chip fracture 小片骨折もだが、よく見ると骨折線が関節の外にまで伸びている。

盤状骨折と呼んでよいのかどうか知らない。

                     -

まず関節鏡で関節内を観て、骨折した関節面を削った。

もし大きな骨折片がグラグラ動くようなら先にスクリュー固定をしようと思っていたがその必要はなさそうだった。

それから損傷部の内側、外側、そして骨折部に目印の針を刺す。

で、あまり関節腔に近すぎない位置で骨折部を圧迫できるようにlag screwを挿入した。

                         -

手術する前に、ペンシルヴァニア大学教授のDr.Richardsonに相談していた。

「珍しい骨折だ。スクリュー固定しなくても良好に骨癒合するとは思うが、スクリュー固定した方が良いだろう。ただし、腱鞘を傷つけてまでスクリュー固定するのは良いことではない。」

とのコメントだった。

                       -

馬主さんは、手術する価値があるかどうか迷っていたようだった。

しかし、勝つか2着にしかなったことがないとても強い馬だ。

経過良く競走復帰することを願う!

                       -

橈骨遠位端にひどく骨増勢してしまう競走馬は、多かれ少なかれ、この馬の骨折に似た損傷を受けているのだろうと思う。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1690

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>