馬ウィルス性パピローマ
馬の乳頭腫。というよりパピローマと呼んだ方がとおりがいいだろう。 馬ウィルス性パピローマ equine viral papillomatosis これからの時季、セリに出す馬にパピローマが出ると気になるし、コンサイナーや育成場でつぎつぎにうつると困ってしまう。 こいつはひどい。 目の回りにも出る。 Equine Dermatology Danny W. Scott,William H., Jr....
View Article都会の犬は・・・・生産地の馬は?
このあたりは車道に、「馬横断注意!」の看板があったりするし、 「競走馬輸送中」と書かれた馬運車もしょっちゅう走っている。 「馬なんだから、気をつけろよ」という感じであり、 その前には(高価な)とか、(神経質な)とかが入っているように思われる;笑。 (「馬を運んでるんでゆっくり行きますからお先にどうぞ」という風に受け取れないのはどうしてだろう・・・・・・?)...
View Article第三中足骨疲労骨折のスクリュー固定
トレーニングセールに出た馬がひどい跛行になって、x線撮影してもらったが異常はわからなかった、とのことで診察した2歳馬。 「ソエ」は以前からあったらしい。 こういう競走や調教後にかなり痛くなったという馬は神経ブロックによる跛行診断はしてはいけない。 亀裂骨折がどこかにあって、痛みを感じなくなって速歩させたとたんにバッキリ折れてしまうことがあるからだ。 「ソエ」の部分をx線撮影したら・・・...
View Article腸間膜根部動脈血栓による腸管壊死
3日前から下痢をしていた45日齢の子馬が、疝痛がひどくなったので診て欲しいとの依頼。 その朝、ヒマシ油を投与したら4時間後から転げまわるほど痛くなった、とのこと。 「ヒマシ油をやったので腸炎がひどくなったんでしょう。こちらへ連れて来てもできることはありません。」と断る。 「必要なら点滴して、鎮痛剤を与えて、そして胃潰瘍穿孔する可能性が高いので、抗潰瘍剤をやった方が良いです」と付け加えておいた。...
View Article子馬の下顎粉砕骨折のプレート固定
子馬が母馬ではないほかの親馬に下顎を蹴られたらしい。 左頬に傷があり、腫れて、乳も飲めないし、物も食べられない。グラグラしている。とのこと。 真横からのx線撮影はこんな感じ。 さほどずれているようには見えない。 斜めに撮ると左下顎骨が骨折してかなりずれているのがわかる。 右側は大丈夫だった。 これくらいの骨折で異常可動するとか、乳も飲めないのは腑に落ちないので、顎関節近くも撮影してみる。...
View Article橈骨盤状骨折のスクリュー固定
競走馬の橈骨遠位端はchip fracture の好発部位で、関節鏡手術の対象になる。 予後は良好だが、関節の外にまで骨増勢することがよくある。 - この3歳競走馬、橈骨遠位を骨折してしまった。 chip fracture 小片骨折もだが、よく見ると骨折線が関節の外にまで伸びている。 盤状骨折と呼んでよいのかどうか知らない。...
View Article第一指骨縦骨折のスクリュー固定
屈腱炎で休養していた競走馬が、やっと速い調教ができるようになったら第一指骨を骨折してしまった、とのこと。 右前第一指骨が正中から外よりへと縦に割れている。 かなり痛い。 - キャスト固定でも治るかもしれない。 しかし、スクリュー固定した方が、速く治るし、競走復帰後の競馬成績も良いことが知られている。 -...
View Article中手骨骨折の応急処置
1歳馬。 放牧して走り回り始めたと思ったら、1頭だけ走れなくなって、そのときにはもう折れていたそうだ。 骨折端が皮膚を突き破っていたが、皮膚の損傷はひどくないし、転倒していないので汚染も少ない。 ハーフリムキャストを巻いて来院したが、異常可動を抑えることはできていなかった。 トラックの中で添え木を肘の下まで当てて腕節も曲がらないようにした。 長い鼻捻子棒がちょうど良かった。...
View Article日本の乳牛と肉牛はどこにどれだけいる?
日本の馬は8万頭ほどしかいない。 その馬たちがどこで生まれて、どこにいるのかはなんとなくわかっているつもり。 では、牛は? 日本に牛がどのくらいいて、都道府県ではどこに多いのか、そして北海道は全国の何割を占めているのか・・・・・? で、調べてみた。 むかしなら図書館へ行って、資料や本を引っ張り出さなければならなかったが、今はネットで簡単に新しい情報が探せる。 便利な時代になったものだ。...
View Article膵臓障害のミステリー
今年初種付けで受胎している若い繁殖雌馬。 夕方から疝痛で運ばれてきて、十二指腸が拡張しているのが超音波検査で確認され、かなり痛いので開腹手術することになった。 小腸閉塞を疑っているので、馬の左側に立って開腹する。 盲腸背側紐から回腸を引っ張り出して吻側orad へと辿っていく。 空腸下部にも内容は流れてきていた。 しかし、空腸上部へ行くほど腸間膜を軸に回転しているようで引張り出しにくい。...
View Article膵臓障害のミステリー 2 成書の記載
馬の疝痛と膵臓障害について成書にはどう記載されているか・・・ - Equine Surgery, 4e Jorg A. Auer Dr Med Vet MS,John A. Stick DVM Saunders 馬外科医のバイブル、Auer先生のEquine Surgeryには・・・・・・ 記載がない。...
View Article膵臓障害のミステリー 3 アミラーゼとリパーゼ
生前診断することが難しく、膵臓は手術でも目視することが難しく、剖検では見過ごされ易い膵臓障害。 では、臨床病理検査として可能性があるアミラーゼとリパーゼを測定する診断価値は?正常値は? - 検索してみても報告はほとんどない。 ずっと古くてWashington州立大からの短報が1991年にEquine Vet Jに掲載されている。...
View Article成馬の白内障
8歳の競走馬の白内障。 去年から右眼に白内障があったが、ここへ来て左眼も見えていないようだ、とのこと。 右眼。 左眼。 先天性ではない。 単なる加齢性でもない。 馬の白内障の原因はほかには、遺伝性、外傷性、栄養性、炎症誘起性、があるとされている。 両眼がこうなるというのは、外傷性とは考えにくい。 コンディションの良い現役競走馬なので栄養性でもないだろう。...
View Articleプレート抜去をminimally invasiveで
なでしこは残念だった。 This is football. そして、今日の決勝戦も含めてとても立派な闘いだった。 勝っても負けても、また挑戦し続ける。 それがスポーツだし、スポーツから学ぶことだ。 - 今日は、子馬の橈骨骨折のプレート抜去。 静脈麻酔でもできるカナ?などと甘く見ていたのだが、とんでもなかった。 穿刺切開で、まずプレートスクリューを抜く。...
View ArticleコードレスDR更新
コードレスDRが更新された。 と、言うか、3年使って来たDRが故障し、修理に出したら「修理不能」だった;涙。 水分が浸み込んで腐食していたらしい。 どうやらきのう今日の問題ではなく、1回のアクシデントでもなさそうだった。 暑い中、長時間撮影を続けたレポジトリー作業のときにパネルを持っていた者の汗か?と思ったりもするがわからない。 - 今度のDRは防水。...
View Article20年前に他の地域の大動物診療について気になったこと
もう20年以上前だろう、遠方の農業共済組合が獣医師を研修に寄越していた。 何名かの獣医さんが交代で数日間ずつ滞在していった。 若い先生だけではなく、40を超えた診療所長クラスの獣医師も来ていた。 - そのかなり年配の先生が、まだ30前後だった私の手術を観て、 「メスの持ち方が違う」 とおっしゃった。 「ハアッ?」という感じだった。...
View Article子馬の大腸炎からのDIC
前日から下痢をしていた子馬が朝、かなり具合が悪いと思ったら、昼には立てなくなったとのことで夕方来院。 子馬の様子を診て、「厳しいですよ」と言ったが、なんとか治療開始する。 口粘膜はチアノーゼ。 持続点滴して、酸素吸入して、抗生物質投与して・・・ 入院厩舎で立てるようになり、蠕動も少しは出てきて、いくらか改善傾向かと思ったが、...
View ArticleDIC
DIC;Disseminated intravascular coagulation 播種性血管内凝固 「播種」とは種蒔き(播き)みたいにあちこちでたくさんという意味。 あちこちの血管内で凝固が起きてしまう。 血液は固まる機能を持っているし、血管内で凝固して血栓ができたらそれを溶かす機能も体は持っている。 血栓を溶かす機能は線溶と呼ばれる。 血栓溶解ではなくて、線維素(フィブリン)溶解なのだろう。...
View Article第43回生産地シンポジウム
きのうは恒例の生産地シンポジウム。 第43回だそうだ。 私はその31回に参加してきた。 急患や、入院畜がいて参加しなかったこともあったかもしれないが・・・ ことしは、画像診断が午前中のテーマ。 生産地シンポジウムの第1回あたりのテーマは子馬の虚弱や腰痿や白筋症が混同されて取り上げられていた。 その頃から思えば日本の馬獣医学もずいぶん進歩したものだ。...
View Articleセレクションセール中
きょうは、セレクションセール。 午後からはあいにくの雨だったが、好調な売れ行きのようだ。 何人か電話をかけてきた人の後でセリ会場の声が聞こえていた。 われわれはセリの間は診療は暇。 生産牧場も、育成牧場も忙しいからだ。 入院厩舎に疝痛馬が2組3頭。 午後は2歳馬の球節の関節鏡手術。 - 雨は恵みの雨になるだろう。 刈り終えた放牧地も少し黄色くなり始めていた。...
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