夜7時半、繁殖雌馬の疝痛で呼び出される。
分娩後2ヶ月近い繁殖雌馬だが、痛みも腹囲膨満もひどい。
超音波検査で膨満し、かなり肥厚した小腸が見えた、とのこと。
開腹して、回腸から小腸を辿ると空腸がどこかへ入りこんで素直に出てこない。
一旦膨満した中位部を創外へ出す。
回腸側とのつながりを探ると、ひどく浮腫をおこした中位部の内容を回腸側へ送れた。
そうしながら、少しずつ回腸側へ小腸を引っ張り出す。
上位を探ると、空腸の最上部の腸間膜に孔が見つかった。
結腸を空にしないとこの孔を縫合閉鎖できない。
もう1人当番獣医師を呼び出してもらう。
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結腸を引っ張り出して骨盤曲を切開し、内容を洗い出した。
できるだけ完璧に空にする。
骨盤曲を縫合している間に、盲腸を馬の左へ引っ張り出し盲腸尖を切開し内容を捨てる。
結腸内容も盲腸内容もかなり多かった。
もう青草を十分以上に食べているのだろう。
結腸と盲腸に押さえられていた空腸上位も腸間膜裂孔から引き抜く。
浮腫を起こしているが・・・・回復するだろう。
それから、拡張した胃にも輸液管を刺してガスを抜いた。
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そうやって腹腔内にスペースを造って3人がかりで空腸上位の腸間膜裂孔の閉鎖に取りかかる。
助手に小腸を押しのけ、腹水を吸引し、腸間膜裂孔を見えるようにしてもらう。
それで、やっと長柄の持針器を使って縫合閉鎖できる。
しかし、途中で針が裂孔の縁にある血管に刺さり出血し出した。
結紮止血しようとしたが、その辺りに針を刺すとさらに出血する。
指でつまんで止血し、その間に閉腹を始めてもらうことにした。
半分くらい閉腹したところで手を離したが、腹腔内に血が湧いてくることはなかった。
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術後はメトクロプラミドを入れた輸液を持続点滴した。
この晩は、この開腹手術だけでは終わらなかった・・・・・・
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馬は翌朝は貧血傾向もなく、午後には食欲も出てhand feeding を始め、夕方帰っていった。
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うちの梅はこれが満開。