空腸腸間膜ヘルニアの手術が終わった頃、難産の依頼。
両前肢から来ているけど頭が捻れていて出せない。
近くの牧場。
20分ほどで来院した。
枠場で両前肢に産科チェーンをかけて・・・とやろうとしたが親が前膝を着いてしまった。
16歳?かなり体型も崩れている。
子馬は生きて動いている。
全身麻酔して出す方が速くて確実だろう。
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全身麻酔して後肢を吊上げて、手を入れてみる。
頭も口から来ているので、引っ張てみるしかない。
ブロードサポート(産道潤滑剤)を入れて、頭にワイヤーをかけてひっぱる。
が、下胎向になっているので、両前肢を捻って上胎向に直す。
あとは引っ張るだけ。
体に胎盤(絨毛膜)を巻いて出てきた。
最初から前肢の蹄も胎便で茶色く汚れていた。
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臍が切れて・・・・子馬の小腸が出ていた。
手で押さえておいて、器具を持ってきてもらう。
臍輪を切り広げ、小腸を押し戻して、臍輪は手早く縫合閉鎖する。
あらためて麻酔して小腸を洗って、きちんと閉腹しなければダメだ。
しかし、とてもすぐに麻酔できるような状態ではない。
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子馬は、自発呼吸はないが心拍はあった。
気道を吸引するが、泡だった黄色い粘液が入っていた。
後肢を持ち上げてみるが、鼻から羊水はほとんど出てこない。
気管挿管してデマンドバルブで陽圧換気するが肺はほとんど膨らまない。
子馬はとても生き延びられるような状態ではなく、そのうち心拍も止まった。
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予定日より10日ほど早くお産が始まった。
しかし、破水は確認できなかったのだそうだ。
早期胎盤剥離が起きて、分娩が始まったのだろう。
それで胎仔は最初から胎便を漏らしていた。
(胎仔は低酸素になると腸蠕動が出て胎便を排泄する)
最初から羊水は茶色く汚れていたそうだ。
その胎便混じりの羊水を誤嚥した。
早期胎盤剥離だと娩出を急ぐ必要がある。
が、牧場で出せなかったのなら・・・仕方がない。
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ハクモクレン。
花付きがよくなるよう、花が大きくなるよう、堆肥やってみるかな。
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家畜高度医療センターで働きたい若い獣医さんは居ないだろうか
救命救急もやっていて夜中の仕事もあるし
忙しくてたいへんなこともあるが
やりがいのある仕事だし
努力すれば自分を向上させていける職場だと思う