朝、書き物をしていたら疝痛馬が来ると言う。
来院したら馬運車の中で立てない。
痛みを軽減してやるためにフルニキシンを投与するが、立てない。
こういう馬はたいていトラックの進行方向を向いて倒れている。それを出口へ向けてやると立つ馬が多い。
引っ張ろうとするが、狭くて、暴れて立てない。
鎮静剤を投与するが、立てない。
鎮痛剤も投与するが、立てない。
仕方がないので、麻酔薬を投与して、トラクターで馬運車から引っ張り出した。
そのままトラクターでぶら下げて診療室へ運び込もうとするが、背中を擦ってしまう。
ブルーシートを並べて敷いて、濡らしておいて、その上を引っ張って診療室へ引きずり込もうとするが男5人で引っ張ってもなかなか動かない。
診療室まで30mほどだが、すこし登りになっている。
もう一度、肢を縛り直してトラクターでぶら下げて診療室の入り口まで運び、そこから倒馬室へ引きずり込む。
そのままクレーンでぶら下げて手術台へ乗せて手術開始。
結腸捻転だった。
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夕方、1月に結腸捻転の手術をしている繁殖牝馬が疝痛で来院。
4月に分娩している。colopexy済み。
直腸検査したら小腸ループを触る。
超音波で、結腸壁の肥厚、そして血管様の異常な物が見える。
いずれにして開腹しないとならない。
開腹したら空腸が腸間膜を軸にグルグル巻きになっていた。
そのままでは整復できず、一部を切開して内容を捨てて軽くし、捻れたロープを解くように整復した。
小腸の4割ほどが壊死してしまった。
競走馬時代にも疝痛で開腹手術を受けている馬。サク癖があり以前から疝痛することがあった。繁殖牝馬として太れてなくて背中がとがっている。
あきらめる。
colopexyは外れてしまっていた。N.M.C.
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その前日は、朝、やはり繁殖牝馬の結腸捻転。
午後、盲腸結腸重積の手術歴がある1歳馬の疝痛。盲腸の1/3ほどを切除してある。N.M.C.
開腹したら空腸が盲腸の残りの部分に癒着していた。
紐状物もある。
空腸どうしの癒着もあり、なんとか剥がせたが、腸間膜に孔が開いたり、漿膜を失ったので、2.5mを切除し、傷んでいない部分で吻合した。
盲腸が腹膜に癒着している部分も剥がし、腹膜が欠損した部分は縫合した。
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前々日にも結腸捻転馬が来院していた。
結腸の損傷はひどく、危ない状態だった。
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この4月から5月は雨が多い。
草の伸びも良いのだろう。
例年にも増して腸管手術が多い。
採食量、給餌量の制限をしないと、それに耐えられない馬もいる。
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シ・モクレン。