疝痛の季節 続々と
朝、書き物をしていたら疝痛馬が来ると言う。 来院したら馬運車の中で立てない。 痛みを軽減してやるためにフルニキシンを投与するが、立てない。 こういう馬はたいていトラックの進行方向を向いて倒れている。それを出口へ向けてやると立つ馬が多い。 引っ張ろうとするが、狭くて、暴れて立てない。 鎮静剤を投与するが、立てない。 鎮痛剤も投与するが、立てない。...
View Article昼間に3頭、夜中に2頭
休み明けで出勤したら、前日は日中に開腹手術が3頭あったのだと言う。 入院厩舎へ行っても、どれがどの馬だかわからない;笑 ー その日も飛び入りで、分娩3日後の繁殖牝馬の発熱と不調。 PCV59とかなり高く、子宮角穿孔による腹膜炎だった。 開腹手術して、子宮角の裂孔を閉じ、腹腔洗浄。 腹腔ドレインを留置して、腹膜炎治療を続ける。 ー 夜8時。...
View Article育成馬の結腸右背側変位 敷料を食べて便秘から・・・?
夜、2歳馬の疝痛の依頼。 来院したら、疝痛は?枠場で立っていられる。 PCV43%、乳酸値1.3mmol/l 超音波では右で肝臓のそばに結腸動脈が見える。 結腸壁の肥厚はない。 直腸検査では、膨満した膀胱のむこうに内容の入った結腸を触る。 硬くはない。腸壁の肥厚もない。 結腸の変位があるようだが、程度はひどくない。 痛みが消えるかコントロールできるなら開腹手術しないで治る可能性がある。...
View Article咽頭壁へのワイヤー刺入
午前中、咽頭壁に迷入しているワイヤーの除去手術。 細くて硬いワイヤーだ。しかし、先週のX線検査では1本だったが、今日は折れていた。 下顎の後ろから切って、肉芽腫とわずかな膿の中から摘出できた。N.M.C. 私は、以前喉頭近くに刺さったワイヤーを抜く手術に6時間かかったことがある。 その馬は、術後半年経っても膿が治まらず、そのまま競馬した。 ー...
View Article第三手根骨矢状盤状骨折のscrew固定
午前中は、1歳馬の飛節OCDの関節鏡手術。 距骨外側滑車が大きく割れていて、それでも苦労しないで終わるはず・・・と思っていたら、 めずらしいほどいくつもに骨片が割れていて、微妙に時間がかかった。 ー 午後は、2歳未出走馬の第三手根骨矢状方向盤状骨折。 第三手根骨の内側の部分、第二手根骨と関節している部分が矢状方向に、第三中手骨との関節面まで割れている・・・らしい。...
View Articleこの季節の繁殖牝馬の疝痛3頭
朝、出勤したら繁殖牝馬の開腹手術が始まるところだった。 術前PCV43%。 ひどくはないかと思ったら、結腸はひどい色。 夜間放牧していて、朝収牧して、飼いを食べ終えたと思ったら疝痛が始まったのだそうだ。 結腸の内容は青草でドロドロ。 内容は骨盤曲切開部から容易に捨てられるが、粘膜は壊死していて、全体の色調も回復しない。 結腸亜全摘する。 ー 土曜日なので、昼は血液検査業務。...
View Article当歳馬の嵌頓性臍ヘルニアと重症馬の術後
重症の腸管手術を3頭やった翌朝、当歳馬の疝痛の依頼。 臍が腫れた翌日、鼠径部が腫れて、疝痛とのこと。 来院して超音波検査したらむくんだ小腸が見える。 臍を慎重に切ったら中に腸管と腸間膜が入っていた。 それがヘルニア嚢を破って、ペニスと腹壁の間へ入っていっている。 開腹手術創を大きくして、腹腔の尾側へ手を入れて鼠径を触るが異常はない。 鼠径ヘルニア、陰嚢ヘルニアは否定できた。...
View Article重種子馬の中足骨成長板損傷のLCP抜去
6週間前に中足骨成長板損傷をLCP固定した重種子馬。 1週間キャスト固定を併用してもらって、そのあとは馬房で大人しくしていたそうだ。 5週間でX線撮影してもらって、 骨癒合するところは骨癒合し、 成長板は骨癒合せずに残っているようで、 肢軸も良好で、 抜きましょう。ということにした。 来たら260kg。まあ、デカい;笑 微妙に蹄尖が浮くが、徐々に良くなるのだろう。 SH2...
View Article結腸亜全摘、とその後の・・・
家に帰って、遅い日が暮れたころ、繁殖雌馬の疝痛で呼び戻される。 昼夜放牧されていて、夕方4時放牧地で軽い疝痛が見つかって、6時にはひどくなって連絡が来た。 来院して夜7時半。 開腹するが、結腸の色調はかなり悪い。 早く引き出して整復したいが、膨満していて引っ張り出すのがたいへん。 補液管を刺して吸引するが、内容はガスではなく粥状物がいっぱいで減圧できない。...
View Article索状物による小結腸閉塞は腸管奇形と関係していたようだった
3歳休養馬が疝痛を示し、その後も3日ほど調子が悪いとのことで来院。 投与されていた流動パラフィンは通過している。 血液所見は悪くない。 超音波で、結腸左背側変位は否定。大結腸は膨満気味。 直腸検査でも異常所見なし。 胃内視したら、かなりひどい胃潰瘍が見つかった。 この馬、育成馬時代から疝痛を何度かしていて、トレセンでも疝痛を繰り返していた、とのこと。 胃潰瘍ができやすい気質なのかな?...
View Article回虫症の季節
先日、早朝、当歳馬の疝痛の依頼。 かなりひどくて汗びっしょりになっている、とのこと。 来院したら、汗はひいていて、疝痛も治まっていた。 血液所見もほとんど異常なし。 超音波で検査したら、小腸は内容があるが動いていた。 しかし、腸内にうごめく太いものが見えた。 回虫だ。 3月生まれ、一度イベルメクチンで駆虫している。 2回目をもうやらなければいけないと思っていた、と飼い主さん。...
View Article3MOの尺骨粉砕骨折のDCP固定
3ヶ月齢の子馬が重度の跛行を示していて、尺骨骨折が確認された。 尺骨骨折の痛がり方はいろいろで、”ひび”程度だと負重できるのもいる。 しかし、この馬はほとんど負重できない。 馬の尺骨骨折は、成書や、海外の馬外科医の意見では、内固定手術が必須、とされることが多いが、 変位がひどくならない症例だと温存で治っていった症例を何例も経験している。 しかし・・・・ この子馬は症状だけでなく、折れ方もひどい。...
View Article麻布大学で講義 馬の消化器疾患
今年も麻布大学へ講義に行ってきた。 私の担当は消化器疾患。 主に疝痛の話をした。 馬の疝痛をどう診断し、どう治すか。 - 学生さんたちが熱心に聴いているのには驚く。 良い大学だ;笑 これは客員講師の課題ではなくて、日頃のその大学の教育にかかっているのだろうと思う。 授業が面白いもので、自分の役に立つものだということを学生が認識しているのだろう。 -...
View Article脛骨近位成長板損傷のT-LCPを抜いた
脛骨近位成長板S-HⅡ型損傷をT-LCPで内固定した子馬。 跛行は徐々に治まり、X線撮影してもらい、順調に骨癒合していると判断してプレートを抜くことになった。 5週間ほど。 minimally invasive に抜きたいが、T型なので、横棒部分は当然よこに切らなくてはならない。 内側側副靭帯を切ることになってしまった。 もちろんこれは後で縫合しておいた。...
View Article馬の肝硬変
繁殖雌馬が馬房で突然死した、ということで剖検。 飼い主さんによれば不調だったそうで、種付けもしていなかったとのこと。 剖検では・・・ 肝臓は黄土色に変色し、小さく、硬くなっていた。 ザラザラした質感。 表面だけの問題ではなく、内部まで同様。 肝硬変だ。 馬の肝硬変にはときどき剖検で遭遇する。 特に高齢馬に多いというわけではない。 どうして酒も飲まない馬が肝硬変になるのかわからない。...
View Article収牧後、飼いを喰ったあとの疝痛が続いている
放牧後、厩舎に入れて飼い付けを食べたあとに疝痛を起こした繁殖牝馬が入院していた。 ー 朝は5歳馬のTieback&cordectomy. 終わる頃、1歳馬の疝痛の依頼。 その馬も、夜間放牧していて、朝に収牧し、飼いを食べたあとに疝痛が始まったらしい。 ひどい痛がり方ではないが、フルニキシンを投与しても痛い、とのこと。 ー...
View Article整復に手こずる結腸捻転はたいへんな重労働だった
夜、繁殖牝馬の疝痛の来院。 この馬は日中放牧されていて、収牧したあと飼いを食べたら疝痛が始まって、フルニキシン無効。 直腸検査で腸紐が張っているとのこと。 来院したら、痛くて立っていられない。 採血してPCVが50%と上昇していることを確認だけしてopeを決断する。 ー 開腹したら結腸の色はかなり悪い。これはダメかな、と思うほど。...
View Article大腿部での駆血方法
1歳馬のフレグモーネ。 最初は飛節の腫れだったが、下肢にも広がった。 RLP ; Regional Limb Perfusion 肢局所灌流をするのが良いだろう。 しかし・・・・・ 飛節の近位まで腫れあがって静脈が見えない。 触っても波動を感じられない。 下肢から駆血帯を巻き上げて、後膝の下で駆血したが、それより遠位は腫れていて静脈を刺せない。...
View Articleイベルメクチン駆虫後の疝痛は血塞疝だったのか?
10歳の繁殖雌馬が、朝イベルメクチンで駆虫したあと、午後から疝痛を示すようになった。 激しい痛みではないが、前掻きし、横臥したそうだ。 治まらないので夕方来院した。 立っていられるが、前掻きする。 超音波検査で肥厚した内容のある小腸が見えるが、膨満してはいない。しかし、収縮運動はない。 PCV39%、乳酸値2.8mmol/l。 直腸検査では、腹圧は高くなく、明確な異常なし。...
View Article過肥馬の疝痛・開腹
繁殖牝馬が夜間放牧中から疝痛を起こしていた、とのこと。14歳。 鎮痛剤に反応せず、鎮静剤を投与しても痛い。 PCV49% 超音波で、右腹部は・・・ この馬は肝臓右葉が平べったく広がってるのか?と思った。 右腹部、もう少し尾側では膨満した小腸が見えた。 その辺りでも、腹壁のむこうに、左側だったら脾臓と見間違えるような”組織”があった。 胃チューブを入れたが、固形物ばかりのようで回収できない。...
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