先日は、北海道NOSAIのみなみ統括室管内の内部発表会だった。
1例報告が多かったが、若い獣医さんが日ごろの症例をまとめていて、勉強になった。
その中で、子牛の感染症の報告が多かったのだが、臍から感染し、肝臓に感染が及んでいる場合に・・・というのも課題であった。
私たちも経験があるが、臍静脈から感染すると、肝臓にポツポツと膿瘍がいくつもできていたりする。
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臍静脈の血流は、肝臓でまた毛細血管に入って拡散されるのだったか・・・・
まっすぐ後大静脈に入って心臓へ戻るのではなくて・・・
だとしたら、臍静脈の血流、あるいは血管として内腔が残っている出生間もない時期に臍から細菌、たいていは
Trueperella pyogenes が侵入した証拠になるだろう。
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臍静脈は、胎仔にしかなく、子牛、子馬にしか残っていない構造なので、解剖学の教科書には載っていない。
馬のNeonetology 新生仔学の教科書を開くと、最初の章に図がある。
よく見る図なのだが、しげしげと臍静脈と肝臓の血流について理解しながら見たことはなかった。
左が胎仔。
左下の胎盤でガス交換し、栄養をもらった血液は、臍静脈から入り、肝臓で末梢に分かれ、それから心臓へ戻る。
右が出生後。
消化管で栄養を吸収した血液は、肝臓へ入って分散し、栄養を肝細胞へわたして心臓へ戻る。
この2つの毛細血管網を結ぶ特殊な血管は(肝)門脈と呼ばれている。
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なるほど、臍静脈は胎盤と肝臓を結んでいる点では門脈でもあるわけだ。
臍静脈へ細菌が侵入すると、肝臓に広がってしまうことがあるのはそのためだ。
・・・・・Trueperella pyogenes 感染が出ている農場では、出生後の子牛の臍を消毒しましょう。
あるいは、分娩房が汚染されているのかもしれない。清掃・消毒しましょう。
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暑い。
不快指数高い。
すっかりエアコンがないと仕事できない体になってしまった;笑
夜も寝苦しい。
地球温暖化は終わって沸騰し始めている、という指摘もあるらしい。