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Channel: 馬医者残日録
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種牡馬の熱中症

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まったく今年のこの暑さはどうなってるんだろう。

8/22はこの夏でも最高気温が記録されそうな暑さだった。

暑い夏も、お盆が過ぎると涼しくなるのが北海道なのに。

朝から蒸し暑く、昼はかなりの熱で、夜になっても涼しくならない。 

            -

セリで診療はヒマ。

夕方になって種牡馬の疝痛の依頼。

痛みがひどく、鎮痛剤を投与しても治まらない、とのこと。

発汗したまま、おぼつかない足取りで馬運車から降りてきた。

PCV50超、乳酸値1.4mmol/l。

超音波検査で明瞭な異常所見なし。

体温39.2℃。

心拍60

呼吸は速くない。

熱射病か?

            -

水道ホースで水をかけて体を冷やす。

頚、脇、内股、そして背中も腹も体全体。

38.8℃になった。

輸液も始めた。

もちろん温めた輸液剤ではない

来院しても顔に表情がなく、ボーっとしていたが、そのうち顔つきが良くなり、あちこち見るようになった。

直腸温は38.6℃になった。

疝痛症状はない。

           -

日中、木陰もない放牧地に出されていたらしい。

何を思ったか走り回ったとのこと。

           -

「帰りましょう」

「水と塩を充分やって、涼しく過ごさせてください」

           ---

生産地では、馬の熱射病、熱中症、heat stroke は疝痛として遭遇することが多い。

よろめく、呼吸促迫、心拍増加、発汗などで疝痛に見えるのではなく、前掻きし、滾転し、真性の疝痛症状を示す。

生産地では放牧されている馬に熱中症が多いので、青草を食べている。

熱中症で消化管の動きが鈍ると腸鼓脹が起こるのだろう。

あるいは腸閉塞に近い状態になっているのかもしれないし、

腸の虚血が痛みになっているのかもしれない。

いずれにしても、体を冷やし、循環血液量を確保し、脱水と電解質異常を補正してやる必要がある。

            -

馬の熱中症に注意してやってください。

日陰もない放牧地で過ごさせるのは暑すぎるかもしれない。

新鮮な冷たい水を与えてください。

塩は多めに!

北海道の放牧地も日陰林が必要かもしれない。

          /////////////

放牧されていた牛を60頭以上襲っていたヒグマOSO18が駆除されたそうだ。

痩せて、傷を負い、皮膚病も患っていたという。

姿を見せない、罠にかからないので、忍者グマと呼ばれたりしていた。

しかし、最期はハンターを見ても逃げなかったそうだ。

思うのは餌を採り、生きていくことのたいへんさ。

合掌。

 

 

 


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