もう20年以上前だろう、遠方の農業共済組合が獣医師を研修に寄越していた。
何名かの獣医さんが交代で数日間ずつ滞在していった。
若い先生だけではなく、40を超えた診療所長クラスの獣医師も来ていた。
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そのかなり年配の先生が、まだ30前後だった私の手術を観て、
「メスの持ち方が違う」
とおっしゃった。
「ハアッ?」という感じだった。
目的にあった持ち方をすれば良いのだが、その先生は数種の持ち方をご存知なかったのだろう。
指導する立場になるには、自分がやっている方法だけでなく幅広く基本を身につけておきたいものだ。
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その年配の先生は、北海道へ来て風邪気味だったらしく、薬品棚の動物用アンピシリンを私に打ってくれという。
「イヤですよ」と断った。
ペニシリンショックを起こして死なれたら「頼まれました」では済むまい。
奥さんは看護婦さんだそうで、風邪をひくといつも奥さんにうってもらうとのことだった。
ほとんど全ての風邪は細菌感染を伴わないウィルス感染で、抗生物質投与は意味はない。
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牛の第4胃変位の手術で閉創していたら、
「丁寧に縫うんですね。私達は4糸くらいしか縫いません。」とのことだった。
「それで癒合しますか?」と尋ねたら、
「いいえ、癒合しません。でも、イイんです。」という答えだった。
何がいいんだろう?
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抗生物質も注射投与せず、バイアルの蓋を開けて、粉を傷口にふりかけるとのことだった。
アンピシリンの注射薬は液に溶かしてさえも、傷につくととても染みて痛い。
それで、筋肉注射するより静脈内投与してやりたいと私は思っているが、その遠方の診療所がどうして粉のままふりかけるのか聞いてみる気もしなかった。
たぶん、注射用シリンジや針の費用が惜しいとか、手術時の抗生物質投与は保険給付にならないから、という理由だったのだろう。
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その地域の家畜診療のレベルはあれから向上したのだろうか。
ふと、思い出して気になった。
月末、全国の若い産業動物の獣医さん相手に数時間の講習をしに行く。
ちゃんと準備して、まじめにがんばろうと思う。
へたしたら35℃を超える真夏日になるらしいけど;笑。
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きょうは、当歳馬の両前肢球節内反の矯正手術 single screw。
2歳馬の前眼房出血の検査。
午後は、当歳馬の球節内反の矯正手術をもう1頭。
1歳馬の腰痿の頚椎X線撮影。
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好天続きで牧草はとてもよく乾燥して輸入牧草のような色に仕上がっているそうだ。
うちの芝生(ただの雑草だけど;笑)は刈ったあとは茶色い。
海が見える広い芝生(ただの雑草だけど)で用足しする幸せな犬。
ナッ?!