DIC;Disseminated intravascular coagulation
播種性血管内凝固
「播種」とは種蒔き(播き)みたいにあちこちでたくさんという意味。
あちこちの血管内で凝固が起きてしまう。
血液は固まる機能を持っているし、血管内で凝固して血栓ができたらそれを溶かす機能も体は持っている。
血栓を溶かす機能は線溶と呼ばれる。
血栓溶解ではなくて、線維素(フィブリン)溶解なのだろう。
凝固亢進と線溶亢進が同時に起こり、あちこちの血管内で血栓形成と出血が起こるのがDICだ。
とても重い状態で、対処方法は考えられてはいるが、予後は悪い。
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ヒト医療ではDICの原因は、悪性腫瘍、白血病、重度の感染症、熱傷、外科手術などがあげられるが、馬では重度の感染症や消化管破裂で経験することが多い。
牛では壊疽性乳房炎が典型だろうか。
いずれもDICに対応するより原因疾患が治せないのでそのまま予後不良になることが多い。
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DICは病名というより状態あるいは現象の呼び名なので診断というより評価と呼んだ方が良いかもしれない。
古典的には原因疾患、症状と経過、そして血液検査では血小板の減少、フィブリノーゲンの減少、PT・APTTの異常、で判断する。
FDP(Fibrinogen Degradation Products フィブリン・フィブリノゲン分解産物)がヒトでは測定される。
昔、若かった頃、馬で測ってみたらどの馬もとんでもなく高かった。
測定方法がおかしかったのか、寄生虫性血栓を持っている馬ばかりだったせいかわからなかった。
まあ、せっかく測ったのだからきちんと記録して学術報告しておけばよかったかもしれない。
しかし、まだインターネットで文献検索もできない時代だった。
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さて、先日の大腸炎で死亡し、剖検でDICを起こしていたと思われた子馬。
来院時の血液検査では、白血球は50,400/μl。
血小板は新鮮血で測ったにも関わらず測定不能だった。
凝集していたのだろう。
フィブリノーゲンは残念ながら測定していない。
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きょうは、子馬の肢軸異常のsingle screw。
2歳馬の去勢。
1歳馬の腕節の2日経った外傷の縫合。
2歳馬の頚の血腫?の切開。なんだ?
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北海道も急に暑くなった。
それも蒸し暑い。
えっ?嫌だ?
どうして?