子馬では、骨がポッキリ折れたように思えても、実は成長板とか化骨線とか骨端板と呼ばれる骨が成長する部位で、骨幹と骨端が軟骨で結合している部分で折れていることがかなりある。
Salter-Harrisの成長板損傷と呼ばれ、その折れ方の形状によって分類されている。
成長板で折れているが、端に三角の骨幹端がくっついているので、Salter-HarrisⅡ型損傷と呼ばれる。
もっともよくあるタイプ。
折れ方の力学としては、成長板が引張られた側は素直に剥がれ、押しつぶされた側は骨幹端に三角が残るように割れる。
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成長板損傷はできれば、ふつうの骨幹部骨折のようにプレートで強固に固定したくない。
頑丈に圧迫固定して成長板が骨癒合してしまうと、もうその部分では成長しなくなり、そちら側が伸びないので肢が曲がってしまう。
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かつては成長板を貫くように2本のキルシュナーワイヤーを挿入してずれだけを防ぐ方法も行われていたが、
あまりに固定力がないので、最近はあまり使われないようだ。
現在、ケンタッキーのRuggles先生が推奨しているのは、成長板の近位・遠位にスクリューを入れて、それをワイヤーで結ぶことで牽引する方法。
上の写真は、Ⅰ型の成長板損傷で、三角のピースはなく、三角のピースを利用した固定はできないので、内外でスクリュー&ワイヤーで牽引することで固定している。
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そして、大きく切り開いて、骨折を整復し、内固定する方法(Open Reduction and Internal Fixation; ORIF)を躊躇するもう一つの理由は、
子馬はとても感染に弱いからだ。
とくに思い当たる原因がなくても感染性関節炎や細菌性骨髄炎が多発する新生子馬だ。
大きな外科侵襲を与えて、異物を埋め込む手術をして感染したらとても厳しいことになる。
スクリュー固定やスクリュー&ワイヤーなら穿刺切開で行うことができる。