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Channel: 馬医者残日録
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当歳馬の第4手根骨盤状骨折

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当歳馬が跛行し、捻挫かと思っていたが、数日後x線撮影したら腕節に大きな骨片が見つかった、そうだ。

chip fracture 小片骨折と呼ぶには大きすぎる。

第4手根骨の背外側面が全部割れているわけではないが、盤状骨折と言っていいだろう。

子馬は手根骨を盤状骨折したり、粉砕骨折することがあり、多くは第4手根骨や尺側手根骨、つまり外側の手根骨に起こる。

と、Richadson教授も言っていた。

私も何例か経験してきたが、ひどく粉砕してしまうと肢が外側へ曲がってしまったりもする。

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とりあえず、この子馬は肢は曲がってはいない。

しかし、しばしばこういう骨折ではx線画像でわかる以上に骨は損傷を受けている。

粉砕していたら内固定はできない。

ただ、このまま放置するわけにはいかない。

骨片を固定するか、それができないなら摘出するしかないだろう。

ただ、この盤状骨折、上のx線撮影の角度でないと映し出せない。

sky view (flexed proxi-distal)でも写らない。

 

                       -

まず関節鏡を入れて骨折の状態を観察する。

関節腔はフィブリンの塊が一杯だった。

骨折による出血が固まったのだろう。

第4手根骨が大きく割れているが、本体の方は崩れてはいないようだ。

第3手根骨と第4手根骨の境目、そして第4手根骨の骨片の外側の端に針を刺して目印にする。

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X線透視装置を骨片が見えるようにセットする。

目印にした針の中間に、遠位近位の角度と位置は透視装置で観ながら2.5mmドリルで穿孔する。

4.0mm海綿骨スクリュー用にタップする。

で、16mmの4.0mm海綿骨スクリューを入れた。

しっかり効いた感触があった。

関節鏡で骨折部を観ると、しっかり圧迫されていて、関節面はズレもない。

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フルリムキャストしようか迷ったが、腕節の上から繋までロバートジョーンズバンデージ風に巻くにとどめた。

あとは骨片が割れたり、スクリューが折れなければ骨癒合するだろう。

                     //////////

夜の散歩。

あちこちにシカやキツネの気配がする。

楽しいネ~

 

 

 


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