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Channel: 馬医者残日録
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新生仔馬の中足骨骨折のLCP固定

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生後4ヶ月とちょっとの仔馬。

この仔馬を8日齢のときに襲った悲劇は、なんでしょう?

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母馬に踏まれたらしい、とのことだった。

発見されたときはひどい痛みだったが、肢はブラブラしてはいなかった。

獣医さんがx線撮影して、現像して骨折を確認して、応急処置をしにいったときには完全骨折になりブラブラだった。

応急処置して連れて来てもらって、LCP固定手術した。

丈夫そうに見えるが・・・

新生仔馬は1日に何十回と起立して哺乳してを繰り返す。

痛みがとれると馬房の中でも跳ね回る。

キャストは長期には使えない。屈腱がゆるんで、それが致命傷になる。

感染にはとても弱い。ただでさえ細菌性関節炎や骨髄炎を起こしやすい免疫状態なのだ。

1ヶ月で体重は倍になる。骨も急激に成長する。

それらのことが骨折治療にはすべてマイナス要因になる。

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仔馬では横骨折や短斜骨折が多い。

体重の負荷やねじれで折れるのではなく、弱い骨がポキンと折れるからだ。

私も以前は横骨折は内固定治療しやすいと考えていた。

しかし、大きな間違いだった。

横骨折をプレート固定すると、プレートの1箇所に大きな力がかかりプレートは金属疲労で破損しやすい。

遊びがない固定ができる、しがちなLCP/LHS固定ではなおさらだ。

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それらのマイナス要因を考えて、上の画像のようなLCP固定をした。

短斜骨折だったが、骨折部にはlag screw を入れた。

骨折部近くの2孔にはプレートスクリューは入れなかった。

骨折部近くの2孔には皮質骨スクリューを使った。

考えた挙句、2枚目のプレートを加えるのはやめた。

手術から1週間、ハーフリムキャストを巻いた。

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キャストをはずしたあと、懸念したとおり蹄尖が浮くような肢勢だった。

患肢の痛みも続いた。

おそらく、蹄球に荷重してしまう痛みだったのだろう。

骨折部も多少の動きがあって、痛みを感じたのかもしれない。

しかし、結果的には痛みが続いたことがプレートを守ったのかもしれない。

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運動制限は厳格にやってもらった。

狭い馬房から出さないようにした。

急激に成長しなければいけない新生仔期だ。

少しでも運動させたい、少しでも陽に当てたい、母馬の発情も気になる、というのはわかる。

しかし、プレートが折れたら、現実にはあきらめだ。

(つづく)

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きのうは、

朝のTieback&Cordectomyは中止。

Over Ground Endoscopy してから判断することになった。

おかげで、症例発表の抄録書きやカルテ仕事が進んだ。

午後は、2歳育成馬の球節骨片骨折の関節鏡手術。

そのあと、2歳育成馬の喉頭内視鏡検査。

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桔梗を植えた。

雑草に囲まれたら、うっかり刈り払ってしまうので、石で囲んでおいた;笑

宿根してくれると好いな。

 

 

 


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