ことしはどういうわけか直腸膣瘻や第三度会陰裂傷が多い。
セリで売れ行きが好調だったので、以前なら処分されていた馬が、治して種付け、となっているのかもしれない。
第三度会陰裂傷の修復でも、直腸膣瘻の修復でも、この直腸壁と膣壁の切り分けがたいせつ。
そして直腸壁と膣壁を別々にしっかり閉じて、左右の壁を貼り合わせるのだ。
新鮮創を出して縫合しておけば癒合する、などというものではない。
腸管壁、膣壁という性質の異なる組織を、その性状にあった糸の運びでしっかり縫わないと癒合しない。
直腸から糞汁が漏れたら癒合しないし、直腸便のテンションに耐えられるように丈夫な膣壁を再建しないと傷が開いてしまう。
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直腸膣瘻での切り分けは、もっと複雑で難しい。
切り分けると、直腸壁と膣壁にそれぞれ穴が開いた状態になる。
(その途中にどうなるか、想像できるかい?)
切り分けさえ終われば、それぞれの穴をしっかり閉じれば良いわけだ。
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私は牛の第三度会陰裂傷を縫合したこともある。
若いときに2頭、往診して縫合した。
牛地帯の獣医さんに、牛の第三度会陰裂傷や直腸膣瘻はどうですか?
と何度か訊いたことがある。
「こうやって治します」としっかりした答えが返ってきたことはない。
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むかし、漁師がおそれた海坊主って、こんなヤツだったんだろうね。