胎仔は臍から酸素や栄養をもらって発育してきたのだが、生まれてからは感染の入り口になったりする。
臍の閉まり方が悪いと腸管が膨らみ出る臍ヘルニアになる。
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前夜、生まれた子馬が臍ヘルニアだとのことで来院。
一般状態は悪くないが、かなりの量の腸管が臍の中に出ていて、調子が悪くなる、とのこと。
来院したら、子馬は赤い舌を口から出していた。
なかなか立とうとしなかったり、起きたら寝なかったりする、とのこと。
新生仔脳症の症状だ。重くはない。
臍は、腫れてはいるが内部に腸管は入っていなかった。
しかし、ヘルニア輪があり、ヘルニアになっていたことは間違いないようなので、そのまま手術することにした。
切り取ったのがこれ。
そして、膀胱は臍から切り離すことになる。
膀胱の先は臍につながっていて閉じていないので、膀胱も縫合して閉じなければいけない。
臍動脈(左の2本)、臍静脈(右の1本)、そして、臍動脈の間が膀胱だ。
臍動脈も臍静脈も結紮して閉じておいた方が良い。
まだ出血することがあるからだ。
あとは、臍ヘルニアとして、腹壁を縫合して閉じる。
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次の朝、1.5ヶ月齢の子馬を臍膿瘍だと思って切開したが膿瘍ではなかったので、そのまま手術して欲しいとの電話。
全身麻酔して、腫れて、根元にゴムがかけられていて、切開が加えられている臍帯を切り取った。
臍ヘルニアにはなっていない。
もう臍動脈も臍静脈も膀胱も閉じて、痕跡が残っているだけ。
それでも管腔構造は残っている。
そこにわずかな細菌が残っていて、徐々に肉芽増勢して腫れたのだろう。
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子馬の臍のトラブルを判断するとき、
日齢と、
臍輪が閉じているかどうか、
が分かれ目になる。
日齢が早いと臍動脈、臍静脈、膀胱が閉じていないで臍につながっている。
そして臍輪が閉じていないと、臍を切ると腹腔になっている。
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おらにもへそはあります