冬に後肢の跛行をしていた1歳馬。
かなり良くなったが、跛行が続くのでX線撮影に来た。
右の臀部は少し筋萎縮している。
もっと萎縮していたのが、かなり戻ってきたのだろう。
全身麻酔して仰臥位で大型X線撮影した。
完璧な仰臥で撮影できていることは、恥骨結合と脊柱の棘突起が重なっていることでわかる。
閉鎖孔の大きさが、右が小さく写っている。骨盤の右半分が変形したのだ。
股関節周囲がひどく太くなっている。折れて骨増勢したのだ。
関節腔はかろうじて写っているが、左ほど鮮明に写らない。
股関節臼縁とか唇と呼ばれるあたりも形状がおかしい。
寛骨、つまり骨盤は、恥骨・腸骨・坐骨の3つの骨からできていて、それが股関節臼でつながっている。
構造的に、股関節臼に力が集中するようになっているし、
後肢を滑らせて横倒しに転倒すると、股関節付近に横から衝撃が集中する。
冬に氷の上で転倒し、骨盤骨折したのだろう。
骨癒合が終わって、まだ跛行が続いているので、競走馬になるのは難しいだろう。
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こういう画像診断は、ポータブルX線撮影では無理だ。
超音波で体表や直腸検査して、股関節周囲の骨増勢を判断することはできるかもしれないが、やはり予後判断までは難しい。
さて、今使っている大型X線撮影装置も15年を過ぎ、部品供給がなくなる。
5千万くらいかければロボティックCTが買えるらしい;笑
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こいつらの医学のために、どなたかご寄付を!!;笑