Quantcast
Channel: 馬医者残日録
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1690

高齢馬の血栓栓塞性腸管壊死

$
0
0

疝痛で運ばれてきた24歳。

サラブレッドではない。

長く乳母として働いてきたハフリンガー。

右前下肢は内反して固まっている。

血液検査ではPCVは30代。しかし、乳酸値が5を超えている。

超音波検査では、結腸壁の肥厚がある。

直腸検査では、腹圧は高くなく、明らかな異常はない。

発熱とわずかな下痢の経過がある。

横たわって苦悶する痛みがある。

もう7時間ほどの経過がある。

助けたいなら開腹手術した方が良い。しかし・・・・

余生をすごさせるだけの馬で、そもそも経済動物ではない。

家畜共済には加入していないので、開腹手術するだけでもかなりの費用がかかる。

そして、24歳の肢が悪い馬だ。

            ー

飼い主さんの希望で開腹手術することになった。

大結腸に壊死部があった。

助けるためには大結腸切除・吻合するしかない。

私は今まで何頭かやってきたし、多くが助かっている。

切除された大結腸。

粘膜面。

結腸動脈には血栓ができて完全に閉塞していた。

静脈には血餅ができて閉塞していた。

血管を開いて、血栓を取り出してほぐしてみたが、円虫の仔虫は確認できなかった。

動脈内壁にも、仔虫が這ったあとだと言われている糸状隆起線はなかった。

しかし、今までの経験で、イベルメクチンできちんと駆虫されている馬ではこのタイプの血栓による腸管壊死をみたことがない。

この馬は移動して1ヶ月ほどなので駆虫歴はわからないが、おそらくしばらく駆虫されていない。

(あとで虫卵検査して、線虫卵300超個/gだった)

            ー

開腹手術後、夜中まで平穏だったが、一口乾草を与えたあと呼吸が速くなり横臥した。が、すぐに落ち着いた。

朝、また痛くなった。フルニキシンを投与したが、すぐまた痛くなった。

蠕動はある。

何だ?

できることは何だ?

(つづく)

          ////////

ライラック・センセーション。

もっと大きくならないと見応えないね。

 

 

 

 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1690

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>