15歳の繁殖雌馬が、この1ヶ月間どんどん喘鳴がひどくなり、呼吸困難になってきた。
内視鏡を観たら、気管の入り口に腫瘍があって閉塞している。との依頼。
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腫瘍を摘出しても再発する可能性がかなりあるので、永続的気管切開が必要だろう。
永続的気管切開は立位でもできるが、できれば腫瘍の摘出もしたい。そのためには全身麻酔して喉頭切開したい。
披裂軟骨の肉芽だけなら立位でlaserで手術できるが、今回の症例は腫瘍が大きく、しかもできているのは少し奥のようだ。
しかし、気管の狭くなり方はかなりひどくて、気管挿管できるのか・・・・・
鎮静剤投与や全身麻酔すると呼吸困難がひどくなる可能性がある。
そうなったら、すぐに気管切開して、そこから気管チューブを入れてとりあえず気道確保し、
吸入麻酔で維持できるようにしてから落ち着いて手術しよう。という術前計画を立てた。
永続的気管切開だけでなく、緊急の気管切開や気管鏡の装着、喉頭切開や輪状軟骨までの切開など、喉頭や気管を扱ういくつかの手技の経験がある術者と、
何種類もの気管チューブが用意されていて、チアノーゼが出るような状態でも対応できる麻酔担当医がいるので対応できる、はず。
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手術台上で落ち着いて永続的気管開窓術を行った。
この手技は、立位でやったり、静脈麻酔でやったりすることが多いので、吸入麻酔で落ち着いてやるのは初めてかもしれない。
けっこう時間がかかるし、これからは吸入麻酔でやりたい、な。
術者の首と腰が楽;笑 血まみれにならずに済む。
その開窓部から気管チューブを入れておいて、喉頭切開した。
喉頭切開部から披裂軟骨にできた腫瘍を摘出した。
気管にできている腫瘍はもっと大きい。
気管切開創からも指を入れて、特別長いメッツェンバウム鋏で切断し、気管切開創から摘出した。
喉頭切開創だけだと取り出せなかっただろう。
こんなサイズだったから。
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出血があるので、ボスミンガーゼを気管に詰めている。
気管チューブは気管切開創から入れてカフを膨らませている。
血液や粘膜を肺に吸引しないように。
高齢なので吊起帯も着けた。
しかし、この馬、子馬に齧られて尻尾が短い。
それもありなかなか危険な覚醒になった。
肉眼では悪性腫瘍ではないように思うが病理組織検査に出す。
「病理組織学的検査」は家畜共済の点数設定が低くて、外注すると赤字になる。
ホルマリンが漏れないようにするパック代もかかる。
送料もかかる。
それでも正確な診断のためにだいじなことだ。
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電気を取り入れる電柱に付いている開閉器。
塩害で傷んでいる、と電気保安協会から指摘されて交換することになった。
ん十万円する。
交換作業で半日停電した。
それとは別に、北電の工事があった。
これはたまたま重なったらしい。
こちらの電気工事では停電にはならない。
世の中は電気に頼りすぎているかもしれない。
去年の地震によるブラックアウトでも痛い目にあった。
台風による千葉の停電はもっと長くなったようだ。
みなさん、考えて備えておいた方がいいです。
例えば、北海道が真冬に停電したら・・・・暖房はできず、水道は凍結し、凍死者も出るだろう。
都会では何が起こるかさえ、想像もつかない。