21時40分、難産の依頼。もう予定日は3週間過ぎていて、分娩が始まったが肩甲部しか触らない、とのこと。
そんななら帝王切開しないといけないかも・・・その気もあります、とのこと。
でも1時間半ほどかかる牧場。
23時来院。
枠場に入れて、手を入れてみるが、異常に曲がった背中に触るだけ。
帝王切開しましょう。
ー
飛節らしき箇所を術創の方へ引き寄せておいて、子宮を切開したら、羊水が黄土色に濁っている。
胎便をちびったんだな。
羊膜は硬く分厚い。
産科チェーンをかけてホイストを利用して引き出してもらう。
子馬は大きかったが、背中が異常に曲がっていた。
そのせいで産道にまともに入ってこれなかったのだろう。
牧場では子馬は動いていたらしい。
胎盤の異常で胎仔が奇形になったのだろう。
ー
子宮切開前に平滑筋弛緩剤リトドリンを投与してもらったら頻脈になった。
難産介助で平気で使っているが、心臓や全身への作用は気をつけなければならないのかもしれない。
ー
閉腹終わって0時47分。
1時間半以上経ってもなかなか立ち上がれなかった。
付いてきていたアルゼンチンからの獣医さんに尋ねる。
「あなたの地域ににも馬病院がありますか?」”あるよ”
「もっと大きい?」”同じくらい”
「ときどき帝王切開やる?」”ある”
「アルゼンチンにも専門医制度があるか?」”?”
「25年くらいまえUSAに行ったとき、アルゼンチンから専門医レジデンシーに来ていたよ」
”海外でレジデンシーを終えて専門医になって帰ってきている獣医師が居る”
ー
うっすら積もった新雪の上をおそるおそる歩かせて、入院厩舎へ。
帰って寝たのは2時50分。
ー
朝、7時、そろそろ様子を見に行かないと、と思っていたら別な難産の依頼。
3月分娩予定の馬が、今朝流産しかけているが、流・難産になっている、とのこと。
そろそろシーズンインかも。
ー
今シーズンは今のところ流産も難産も多くはない。
でも少なくもないかも。
雪が少なくて、運動は足りていると思うが・・・・
帝王切開した馬は、両前蹄が痛い馬だった。
////////////
どうぞおてやわらかに