海外の先生の講習で、症例の画像の端にN.M.C.と書かれていることがある。
Not My Case. 私の症例ではありません。との表示。
症例提供者への感謝であるかもしれず、「オレならもっとうまくやる」かもしれない;笑
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私が休みの日に子牛の脛骨骨折が来て、内固定手術した、とのこと。
これはひどい骨折だ。この角度近位部の端は短斜骨折ぽく見えているが、実際にはピースが飛んだ螺旋骨折だ。
そして骨折部が長く、遠位部には固定できる健常部がほとんどない。
ピースは3つ以上見えているので粉砕骨折だ。
表現としては、「脛骨骨幹中央部から遠位部に至る螺旋骨折で粉砕している」となる。
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ダブルプレートしなければ強度がある固定はできない。
家畜高度医療センターにはLCPの器材と技術があるので、LCPを使うのが望ましい。
ピースをscrewで止めて・・・二つの骨体にしておいて・・・
骨鉗子で挟んで整復して・・・
脛骨内側にLCPを当てて・・・
遠位部はLHSを使って支柱性を創ってやりたい。
遠位成長板をまたぐ固定になるのは覚悟の上。
1本目のplate screwを入れると、骨に対して近位遠位の位置は決まってしまうし、
2本目のplate screwを入れると、骨の軸に対するplateの角度も決まってしまう。
特にLCPでは、LHSを入れる方向も決まってしまう。
(LHSはLCPに垂直にしか入れられない)
プレートの位置と角度が固定されたら、あとは骨折部の近位と遠位に交互に正確に入れるべきscrewを入れていけば良い。
ただし、皮質骨screwや海綿骨screwが先で、LHSは後にするのがLCPを使う場合の原則。
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最遠位が写っていないのが残念だが、6.5mm海綿骨screwを使ってしっかり固定し、
LHSを使って、支柱性を創りだしていることがわかる。
最初からダブルプレートをやる予定だったそうで、頭外側にはDCPを当て、やはり主に6.5mm海綿骨screwを入れている。
LCPの一番遠位の孔には一番短いscrewを入れても脛骨内果を貫き、距骨に当たってしまうのでempty hole にした、とのこと。
まだ体重の軽い新生黒毛和牛なので、このLCPとDCPのdouble plates で充分な強度の内固定ができただろう。
Good job !!
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きのうは、
下顎骨折のプレート抜去後も瘻管が残ったのでデブリド。
慢性の腹膜炎で死んだ繁殖雌馬の剖検。colopexyあり。しっかり固定されていた。
午後、血液検査業務。
2歳馬の前肢跛行。診断つかず。でも良くなりつつある。
3歳馬の腕節骨折の関節鏡手術。左右。
夕方、目を蹴られた繁殖雌馬の外傷縫合。
超音波で眼球や眼窩骨に損傷がないことを確かめ、角膜を蛍光色素で染めて損傷がないことを確かめ、傷を縫合した。
夜、楽しく食事会。その終わりに、流産の難産。