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Channel: 馬医者残日録
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医療のキャパシティー 選別と集中の重要性

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朝、子宮穿孔を疑うとのことで、分娩翌日の繁殖雌馬が来院するという。

予定していた関節鏡手術を延期してもらって、開腹手術と腹腔洗浄の準備をして待つ。

来院したら、チアノーゼ。

子宮穿孔だと腹膜炎とトキシンショックの進行は速くないことが多いので、分娩翌日にしては悪すぎる。

血液検査で、白血球数3,300/μℓ、PCV70超、乳酸値7。

超音波検査で大量の腹水とフィブリンと異物が腹腔内に見えた。

腹腔穿刺して汚濁した腹水を採取し、顕微鏡検査して多数種の細菌と繊維らしいものを確認。

剖検したら、小結腸破裂だった。

おそらく妊娠末期に小結腸が産道へ引きずり込まれて破れたのだろう。

おかしなお産だったようだ。

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別な繁殖雌馬も剖検。

子馬は無事だったが、子宮穿孔し、腸管が大量に脱出し、傷ついてしまいどうしようもなかった、とのこと。

大事な繁殖雌馬で、母馬を助けたかったそうだ。

しかし、そういう異常産でも母馬の救命率を上げるなら、ヒトと同じようにほとんどの分娩を病院でするようにしなければならない。

この地域で5,000頭の子馬が生まれる。

馬病院が・・・・・いくつあれば足りるんだろう?

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家畜高度医療センターの年間開腹手術頭数は140。

帝王切開ばかりやるとして、こなせるのは1日2-4件。

春に集中するのだから・・・・・どう考えても無理だ。

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さてCOVID-19。

pandemic 世界的流行が宣言され、USAは非常事態宣言。

8割の感染者は軽症だとされているし、その場合は特別な治療法はない。

病院へ行かないことが重要になってくるだろう。

症状から感染を疑ったら、うつさないようにおとなしく自粛生活をした方が善い。

病院ほど感染リスクが高いところはないだろうし、

病院は重症者の治療に集中してもらわないと、医療が崩壊する。

 

 

 


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