夜、8時前に呼ばれた。
繁殖雌馬の疝痛。
小腸閉塞のようだ、とのこと。子馬連れ。
開腹して回腸からたどると、すぐにグルグルに絡んでいて、暗赤色の小腸が見えた。
腹腔の中に余裕があるおかげでなんとか解けた。
回腸は点状出血がある程度の損傷だが肥厚している。吻合には使わない方が良い。
上位は明瞭に健常部と壊死部の境があった。
空腸下部から回腸までの腸間膜の血管を結紮止血しておいて、
回腸を切断し、壊死部を廃液ホースに使って上位の内容を捨てる。
回腸を盲端として閉鎖する。
壊死部を切断して、空腸の健常部を盲腸に端側吻合する。
腸間膜を盲腸、回腸盲腸ヒダ、回腸盲端部、切断した空腸の腸間膜、と縫合して閉じる。
閉腹は助手を務めてくれた馬外科専門医のY先生に頼む。
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もう1頭の疝痛馬が来て診察を待っている。
血液はPCV32%。
しかし、超音波検査で肥厚した大腸壁が見えた。
もう6時間、中程度の疝痛が続いている。
「開けた方が良いです」
先の馬を運び出しておいて、次の馬の開腹を始める。
地元からの獣医師が手伝いに来てくれていたので助かった。
やはり、結腸捻転だった。
内容は少し便秘気味。
この季節、まだ青草はないが、分娩した母馬にはたくさん食べさせるのでこうなったのだろう。
結腸の虚血性損傷はひどくない。
Colopexyして閉腹して、00:16。
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夜中でも、2頭でも3頭でも「来い!」ってときもあったけど、もうそんな歳じゃない;笑
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先日は、やはり分娩後の繁殖雌馬の胃破裂が2日続けて運ばれてきた。
小腸閉塞はなく、原発性の胃破裂だった。
死ぬほど喰うなよ、と思うが、人が死ぬほど喰わせているのだ。
食べさせすぎに注意、です。
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オラは丘の上に立つとき大いなる展望を抱く。
止まない雨はない。
明けない夜もない。