馬臨床技術研修2021
みなみ北海道管内の獣医さん3名を対象に、馬臨床技術研修。 午前中は要望が多かった疝痛の診断。 講義のあと、直腸検査、超音波検査、胃チューブの挿入、を実習していただいた。 午後は、跛行診断。 講義のあと、跛行馬の見方、神経ブロックをやっていただいた。 蹄の跛行を神経ブロックがみごとに抑えるのには驚きの声があがっていた。 牛の処置にも生かせるかもしれない。 そのあとは、X線撮影。...
View Article医学論文査読のお作法
査読について勉強する第二段。 お作法、と軽いタイトルどおり、こちらは楽しくよめる。 医学論文査読のお作法 (臨床研究の道標 副読本シリーズ) 大前憲史 特定非営利活動法人 健康医療評価研究機構 臨床医を対象に書かれているので、わたしの立場に近い。 「臨床家に来るほとんどの査読依頼は観察研究の論文」だから、観察研究の査読が中心に書かれている。...
View Article馬臨床技術研修2021 その2
内部の実習研修、第二グループ。 内容は前回と同じ。 午前中、疝痛の診断の講義と実習。 直腸検査と超音波画像診断と胃チューブの挿入。 胃チューブを入れて水を飲ませたので、十二指腸の動きが超音波でよく見えた。 直腸検査でも、尿が溜まった膀胱を確認できた。 - 午後は跛行の応急処置と診断。 ハーフリムキャストの装着。...
View Article医学論文査読のお作法 part2
医学論文査読のお作法 (臨床研究の道標 副読本シリーズ) 大前憲史 特定非営利活動法人 健康医療評価研究機構 FINER チェックとは、Hully B Stephen 先生が、研究を計画する際に、リサーチクエスチョンがより洗練されたものになるよう研究者が確認すべき評価項目の頭文字を組み合わせてできた造語。 FIRM2NESS チェックとは、福原俊一先生が項目を追加したもの。...
View Article子牛の食道梗塞処置での気管挿管
10日齢の黒毛和種子牛。 「7日間、親から哺乳させていて、離乳して投薬器でミルクをやったら鼻から逆流してきた。 この3日間、食道梗塞が解除されないようで、カテーテルも入っていかないので、補液している」、とのこと。 キシラジンで鎮静して寝かす。 内視鏡を鼻から入れたが、食道に入ってすぐそれ以上送り込めなくなる。 X線撮影すると、食道上部に塊状の閉塞物がある。...
View Article手術後の疝痛
馬は全身麻酔で行った手術後に疝痛を起こすことがある、とされている。 骨折や関節鏡手術といった整形外科手術、あるいは喉頭形成手術; laryngoplasty = Tieback でも。 - 早朝というか、夜中3時起こされた。 5歳の休養馬が疝痛で来院した、とのこと。 行ってみたら診療室で倒れている。 そのまま覚醒室へ引きずり込んで手術する。...
View Article初産牛の帝王切開
初産牛が分娩予定日の翌日午後2時に破水し、 生まれないので4時半に手を入れてみて、もう袋はかぶっていないのに(二次破水しているのに)出ないので、獣医さんに診てもらったら、 頭は触れるけど遅れていて、過大仔のようなので、帝王切開して欲しい、と5時前に連絡があった。 - 6時半に着いたら、牛はトラックの中で立たない。...
View Article鎮静剤もうてない馬に ポールシリンジ
昂奮してしまって、獣医師が近づけないとか、どうしても首を触らせないとか、という馬も居る。 ほとんどは1歳馬だが、たまに繁殖雌馬でも。 ポールシリンジ、というのが本に紹介されている。 長い棒の先に工夫したシリンジを付ける。だからポールシリンジ。 要は50ccのシリンジを切って作った筒の中に、10ccのシリンジが入っている。 これで馬の大きな筋肉を刺せば、薬液が筋肉注射される。...
View Articleひどい結腸左背側変位は胃にもひっかかる
朝から疝痛を見せた当歳馬が、一旦は落ち着いたが今度はひどく痛い、ということで昼過ぎに来院。 外傷と重なったのだが、開腹手術適応なのは間違いないので、覚醒室で倒馬して開腹手術開始。 - 盲腸をガス抜き。 結腸基部を触ると、背側奥でどこかへ入り込んでいる感触。 横隔膜の孔に吸い込まれたか? ところが別な方向、腹腔内頭よりに結腸骨盤曲らしきものが触った。...
View Article流産の難産は
1月中旬に分娩予定の馬が、その朝から流産だが、肢が4本産道へ入ってきて、頭は触らず難産だとのこと。 流産が難産になることはあるが、妊娠月齢が早いと胎仔が小さいので、月満ちた分娩より容易であることが多い。 「こんなの持ってきちゃって・・・・」 と担当の獣医さんの弁。 - 枠場に入れて、リトドリンを投与して、産道潤滑剤を入れて、...
View Article飼主は馬の肥満を意識しづらい
20歳の繁殖雌馬が突然死した、ということで剖検。 両前の蹄葉炎で、装蹄管理されていた。 口粘膜は白くなっていた。 しかし、腹腔内に出血はない。 胸腔を開けると、心嚢が血で膨れ上がっていた。心タンポナーゼだ。 大動脈基始部が破裂していた。 高齢馬に多い事故だが、生活習慣病でもある。 この馬の心臓には驚くほど脂肪がついていた。 冠状溝の脂肪がつかめるのだ。...
View Articleふんわり見るだけ整形外科
ネットで本を買うのは便利だが、 書店でみかけて読んでみようという気になることもある。 ふんわり 見るだけ 整形外科: 超図解で面白いほど頭に入る 岡野 邦彦 メディカ出版 獣医外科学の中では、「整形外科」と分類して習うことはなかった。まあ、私たちの頃は、なのかもしれない。 そもそも、牛は整形外科的症例の治し方をきちんと教わることはないかもしれない。まあ、少なくとも私は教わった記憶は無い。...
View Article高齢馬には有茎脂肪腫による疝痛が多い
朝、繁殖雌馬の疝痛で呼ばれる。 夜間放牧明けから痛がっていた、とのこと。 19歳、だったかな。 PCV50%。やんなきゃだめだよね。 開腹したら、閉塞部位ははっきりしなかった。 しかし、空腸の一部に変色した部分があり、あちこちに有茎脂肪腫があった。 一時的に空腸が脂肪腫で絞められたのか? できるだけ脂肪腫を切除した。 それが先月末。 - 月替わって、...
View Article犬の年齢をヒトに換算する新しい方法
年齢は健康にも、精神的成熟にも影響をあたえる。 それで、動物の年齢がヒトで何歳に相当するか、よく考えられる。 単純には7をかける。 つまり、1歳はヒトの7歳。5歳はヒトの35歳、10歳はヒトの70歳。 ゴールデンレトリーバーの飼主である私の印象でいうと、それほど違和感はない。 1歳まではガキンチョ。2歳までは子供。3歳で若者。4歳で大人。7歳くらいから衰えが見え、9歳はだいぶくたびれている;笑...
View Articleカケス馬の過長歯
日曜日もふたり出勤。 朝、繁殖雌馬の下顎の最後臼歯が伸びていて、立位では削れなかった、という症例。 立位でトライして昂奮させてから全身麻酔するのは良くないだろう、と判断して最初から全身麻酔。 開口器をつけて口を開くと・・・ 311がひどく伸びているのがわかる。 上顎にはいつも”刺される”部分がある。 バールを当てておいて、ハンマーで叩いて破折する。 帯同してきた若い獣医さんにやってもらう。...
View Article子牛の骨折プレート固定研修
10年目の獣医さんの研修として、子牛の骨折プレート固定実習を教えに行ってきた。 去年やるはずの実習がコロナ禍でできなくなり、今年に延びた。 もちろんマスク着用、研修中にはPCR検査の採材があり、 寮での食事も間隔を開けて黙食。 ー Synthes Vetの協力を受けて、プレート固定の器材を借り、 講義、プラスチックボーンでの体験、解剖体での練習、とやっていただいた。...
View Article骨折プレート固定の歴史と・・・
空いた時間におべんきょうしていました。 馬の骨折治療では、ヒト整形外科の技術を鵜呑みにするわけにはいかない。 それで、ヒトのプレート固定の文献を読むことは避けてきた。 しかし、LCP固定について基礎から学ぶ必要があると思って読んでみることにした。 ヒト整形では、ぼちぼちLCP骨折治療について総括するような文献や、 ピットフォールについて書いた文献がでている。 ー...
View Article結腸便秘の要因
獣医師ふたり出勤の土曜日。 午前中は腕節の腱鞘鏡手術の予定だったが、先週から!の結腸便秘の開腹手術をすることになった。 終わらせて、1歳馬の肩跛行の診察。 血液検査業務のあと、2歳馬の腕節骨折の関節鏡手術。 そのあと、当歳馬の額の外傷。 - 結腸便秘の手術を終えて、どうして便秘したんでしょう?と訊かれて・・・・...
View Article最大級のkeratoma
これも2人勤務の土曜日の症例。 後肢跛行する馬の蹄に見つかった蹄骨の欠損。 後肢なので全身麻酔する。 蹴らないと約束してくれたら立位でやるんだけど・・・笑 たいていは蹄底の平滑部なのだが、大きいこともあり蹄叉よりだ。 蹄叉尖の辺りを壁に穴を開けるためのドリル先で掘る。 経験しているので、こういうのが入っていることはわかっている。...
View Article馬が敷き料を食べてしまうと
牛飲馬食、という言葉がある。 牛はよく水を飲み、馬はよく食べる。という意味である。 人に飼われている代表的な草食動物をよく観察して、昔の人が言ったのだ。 実に適確に、反芻動物と、非反芻動物である馬の消化生理を表現している。 - 乳牛は大量の牛乳を分泌するために、まず大量の水を飲まなければならない。...
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