秋のbusy day
きのうまでに入っていた診療の予約は、競走馬の腕節の関節鏡手術と、1歳馬の腰痿のX線検査と、午後に2歳馬のDDSPのTieForward手術。 しかし、2歳の競走馬が中足骨の顆骨折をしたとのことなので・・・・ 何とか昼前にスクリュー固定手術することにした。 ところが、その上に、1歳馬がウォーキングマシーンで暴れて頭部を大怪我したので縫合して欲しいとの依頼。 忙しいんだけど・・・・なんとかしまショ...
View Article蹄骨の骨嚢胞
1歳馬が跛行して最初は蹄を鋏むと痛いように思えた。そうだ。 指動脈も張っていたとのこと。 X線撮影してもらったが、蹄には異常なかった。そうだ。 数日後、良くならないので別な獣医師に診てもらったら、肩辺りを触ろうとすると飛び上がった。そうだ。 跛行が始まってすぐ発熱したが、翌日には自然に解熱した。そうだ。 -...
View Article鼻中隔切除 1
馬は蹴られたり、牧柵に激突して鼻梁を骨折することがある。 陥没骨折がひどいと骨を持ち上げてプレートで固定する手術をするのだが、鼻の内部はなんともしようがない。 鼻の内部は空洞ではなくて、左右を分ける壁(鼻中隔)や鼻甲介によりいくつもの部屋に分けられている。 それらが押しつぶされて変形してしまうと、鼻道が狭くなり、呼吸が苦しくなったり、狭窄音がするようになる。...
View Article鼻中隔切除 2
手術台で右横臥。 手術中も、手術後も鼻では呼吸できないので、気管切開し、そこから気管チューブを入れて吸入麻酔する。 麻酔覚醒後は金属製の気管鏡に付け替える。 - ついで、喉頭切開し、まず腹側を切る線鋸を通す。 これには両端をヘアピンに曲げたワイヤーを使った。 喉頭切開部から左右の鼻孔へワイヤーを通して、それに線鋸の先を引っ掛けて引張るのだ。...
View Article鼻中隔切除 3
取り出した鼻中隔。 右面(右写真)と、 左面(左写真)。 右面には斜めに走る肥厚した部分がある。 左面からはわかりにくい。 折れた痕だろう。 その他にも左右不対称に肥厚と変形がある。 背側から観ても変形がわかる。 (左) - - 麻酔覚醒は気管切開部に専用の短い気管チューブを入れて。 鼻には止血のための詰め物をしているので鼻では呼吸はできない。...
View Article副手根骨chip fractureの関節鏡手術
2歳未出走馬の副手根骨のchip fracture。 調教中シカに驚いて急旋回したらしい。 3ヶ月ほど経過を観たが骨癒合せず、かえって浮いてきた。 副手根骨のchip fractureはとても珍しい。 しかも、いくつかの角度からのX線画像からすると、どうもこのchip(骨片)、副手根骨の内側にあるらしい。 橈骨との関節面のぎりぎりだ。 ふつうに外側から関節鏡を入れたのでは見えないかもしれない。...
View Article治せない病気
今日は、 7歳繁殖雌馬の臼歯の間隙と歯周病の治療。 一般的な歯科処置で改善されないと全身麻酔しての処置が必要になる。 前回も全身麻酔して処置したのだが、「まだ噛み出しする」ということで2回目の処置。 ただ、体重は前回から5%以上増えていた。 - その後、 当歳馬の腰痿のX線撮影。 今年は当歳馬の腰痿が多いかもしれない。...
View Article治せない病気2
朝、 ひどく痩せてしまった繁殖雌馬が来院。 歯の治療ということだったが、歯の異常は痩せ方に比べてひどくない。 思うところあって、頼まれもしないのに腹部の超音波画像診断。 いちばん頭にあったのはリンパ腫だったのだが、腎臓にひどい異常を見つけた。 とても治せるような病気ではない。 - 次いで、 瞬膜に腫瘍塊ができた繁殖雌馬。...
View Article秋の大雨の一日
今日は、 角膜に乗った扁平上皮癌。 こうなると立位で、というわけにはいかず、全身麻酔が必要になる。 マージンを取って切除する(腫瘍の周囲を大きめに切除する)こともできなくなるので再発率も高くなる。 角膜を削りすぎれば穿孔して眼がつぶれてしまうからだ。 - 続いて、 繁殖雌馬の後肢の蹄叉にできた肉芽の切除。 これもどうしてこうなるのわかっていない。...
View Articlehysteroscopy 子宮内視鏡検査の秋
空胎に終わった繁殖雌馬の子宮内視鏡検査hysteroscopy. 水胞があればlaserで破砕する。 (写真は別症例) 馬では子宮内膜の変性によって受胎率が低下することが知られている。 加齢性の変化もあるし、 子宮内膜炎の後遺症であることもある。 - きのうは子宮内視鏡検査2頭以外に、 Rhodococcus腹腔内膿瘍で死んだ子馬の剖検。 頭の外傷の縫合。...
View Article治せない病気 Rhodococcus equi腹腔内膿瘍
Rhodococcus equiは子馬に、肺炎、腹腔内膿瘍、関節炎、骨髄炎、筋間膿瘍などを引き起こす。 次から次へとうつる病気ではないのだが、牧場によっては多発したり、毎年発生したりする。 肺炎は重篤化して数週間にわたる治療が必要になることが多いが、治ることの方が多い。 しかし、腹腔内膿瘍はとてもやっかいだと考えている。...
View Article馬の子宮内膜炎の総説 by M.LeBlanc
もう亡くなってしまったM.LeBlanc先生が2009年にReproduction of Domestic Animal誌に馬の子宮内膜炎についての論説を書いておられる。 全文は手に入れていないが、Pub Medから要約だけを読んでも新しい情報や考え方が含まれていて興味深い。 - Clinical and subclical...
View Article足根骨・中足骨部の崩壊のプレート固定手術
Veterinary Surgeryの最新号に飛節の下で骨折や脱臼をしてしまった馬のプレート内固定手術5例が報告されている。 このタイプの事故はかつて有名な種雄馬ヌレイエフが発症した。 ケンタッキーの有名な診療所の中にヌレイエフ用の馬房が建築され、長期間の治療とリハビリのあとでヌレイエフは種付けにも復帰した。...
View Article歴史的な馬手術 英王立獣医科大学資料から 1927-1937
興味深いヴィデオをyoutubeで見ることができる。 Historic Equine Surgery taken from the archives of The Royal Veterinary College. 1927-1937. 行われているのは声嚢声帯切除だ。 喘鳴症の外科治療として行われるこの手術が、第二次世界大戦前に行われていたことにびっくりする。...
View Articleチベットを馬で行く
チベットを馬で行く (文春文庫)渡辺 一枝文藝春秋 この1ヶ月、この本を読んできた。 amazonで購入する前は、有名な作家椎名誠の奥さんが書いた旅行記だと思っていた。 写真が多くて、それほど厚くはない本だろうとなんとなく考えていた。 甘かった。 あとがきまで実に668ページある。 写真どころか挿絵すらひとつもない。 すべてが言葉で表現されている。 チベットを馬で1周する4000kmを超える旅。...
View Article修行じゃなくて何て言う?
自分を高めるための努力やその過程、あるいは他者を教え導くための方法を何と呼ぶ? education 教育はまさしく「教え、育てる」ことだろう。 しかし、ちょっとおこがましいし、堅苦しい。 もっといろいろな表現があっても良いはずだ。 - 訓練? これは軍隊っぽい。 - 演習? これも違う。 -...
View Article大動物の実践的輸液講習会
きのうは地元獣医師会主催の産業動物講習会。 酪農学園大学鈴木一由先生に来ていただいて産業動物の実践的輸液について講演していただいた。 - その前に、ランチョンセミナーとして日本全薬工業の角田先生に高張食塩液について原理と症例の紹介をしていただいた。 牛の臨床では高張食塩液はずいぶん普及して使われている。...
View Articleそらをみてますないてます
今日は、 休み明け。 月初めでもあるので、事務処理。 朝、疝痛で来た子馬は具合が悪い。 腹膜炎を起こしてしまっている。 昼前、繁殖雌馬の疝痛も来院したが、到着したときには立てず、そのまま死んでしまった。 子宮動脈破裂だった。 今日は、風がひどく強く、 アラレ混じりの雨も降り、 日が暮れてから雷もとどろき、稲光。 地震もあったらしい。 12月上旬の寒さになるそうだ。...
View Article避けられない安楽殺
今日は、 競走馬の橈骨骨折、左右両方。 繁殖雌馬の橈骨粉砕骨折の剖検。安楽殺されて来た。 牛の第四胃右方変位の開腹手術。 夜中に死んだ当歳馬の癒着疝の剖検。 1歳馬の細菌性滑液嚢炎の診断と治療。 当歳馬の上腕骨骨折の安楽殺と剖検。 3歳馬の中手骨骨折の安楽殺。 - USAでは脳腫瘍で余命宣告された若い女性が自死を選んで実行したことが話題になり論議されている。...
View Article胸椎棘突起衝突と空腸捻転とそれからそれからの1日だったのだ
今日は、 胸骨棘突起衝突の棘突起部分切除手術。 胸椎棘突起の間隔が狭い部分があり、ぶつかるらしく骨に反応像が見られる部分がある。 手術台で横臥にし、針を刺してX線撮影し、削るべき棘突起を確認する。 Bone Sawで棘突起を切って、あとは棘突起の間腔に鋭匙を入れて当たっている部分を削る。 - 終わったら、1歳馬の疝痛の来院。...
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