早産子馬の新生子不適応症候群NMS
その子馬は胎盤炎で、2週間早く生まれてしまった。 生まれて半日は元気で、起立し、親から哺乳できたが、そのあと立てなくなり、foal squeezeにも反応せず、夜中じゅう暴れたらしい。 翌朝、運ばれてきた。 で、鎮静剤を投与したが、あまり効果がない。 頸静脈カテーテルを留置して輸液を開始する。 膀胱破裂を予防するために尿道カテーテルを留置する。...
View Article尺骨骨折・腓腹筋断裂・上顎損傷・DDSP・EE・第一趾骨骨折・中足骨部外傷
ゆうべは私は呼ばれなかった。 他の獣医さんたちは・・・・ 夕方、腸炎の子馬が来院、そのあと難産が来て、さらにそのあと結腸捻転の開腹手術でほとんど朝方になったらしい。 私は、前日に連絡を受けて準備していた1歳馬の尺骨骨折のプレート固定手術でスタート。 詳しくは別の機会に。 プレート固定が終わったところで、先週キャスト固定した新生子馬の腓腹筋断裂がキャスト交換に来院。...
View Article1歳馬410kgの尺骨骨折
この1歳馬、どうやら他の馬に蹴られたらしい。 肘の骨折部の皮膚にわずかな傷があった。 2月生まれで410kgある大きな1歳だった。 当歳馬の尺骨骨折は生産地では毎年のようにお目にかかる。 変位していなければ、温存で大丈夫なことが多い。 しかし、馬が大きくなると上腕三頭筋の牽引も強力になり、立っている時間も長くなる。...
View Article吸入麻酔ことはじめ
私が今の職場で勤め始めた1985年頃、馬の長時間手術はハロセンの吸入麻酔器でやっていた。 吸入薬ハロセンは呼吸抑制が強くなく、自発呼吸が続くので人工換気 ventilation なしで麻酔状態を維持できる。 モニターは何もなかった。 そのうち心電図と呼吸はモニターするようになったのだったか。 もっとも吸入麻酔頭数自体が、年に20-30頭くらいだっただろう。 ー...
View Article臍静脈膿瘍
子牛は臍静脈が膿瘍化してしまうことがある。 元気・飲乳不振、発熱、成長遅延、削痩、などが症状。 血液検査で炎症像・感染像があり、超音波画像診断で臍から肝臓へと続く管状の膿瘍が見つかる。 抗生物質投与で治療するが、完治しないと、一度は症状が落ち着いてもぶり返す。 膿瘍をなんとかしようと、外科手術が選択される。が・・・・・ 3週間前に造袋術をやった子牛は感染が治まらずダメになった。...
View ArticleGW2019
Golden Weekが始まった。 世間では10連休だそうだ。 午前中、1歳馬の飛節OCDの関節鏡手術。 当歳馬の後肢の跛行。 股関節炎が疑われるので、全身麻酔して骨盤をX線撮影して、 超音波で股関節を観て、股関節を穿刺して、抗生剤を投与した。 昼は、血液検査業務。 午後は、子馬の肢軸異常のsingle screw × 2。 繁殖雌馬の疝痛も来院するし、 膀胱破裂疑いの子馬も来院する。...
View Article腸管の穿刺
分娩後1ヶ月の繁殖雌馬が疝痛を示して来院。 ひどく痛いわけではないが、寝る、前搔きする。 便がほとんど出ない。 血液検査所見は悪くない。PCV30%代。 超音波では著しい気張。右でも左でも。 直腸検査では、膨満がひどくて手が入っていかない。 - 分娩で腸間膜が裂けて、今になって小結腸が入り込んで閉塞したのか?と考えたが、 少しは硬めの便が出た。...
View Article分娩時の膣裂で腸管脱出した馬の癒着疝
2月に分娩中に膣前庭が裂けて腸管が脱出した繁殖雌馬。 膣を縫合したが、懸念したとおり腹膜炎が起こり、翌日に開腹手術した。 小結腸の腸間膜が傷んでいたので縫合し、腹腔内にはこまかいワラがいっぱい入っていたそうだ。 その繁殖雌馬がひどい疝痛を示して来院した。 その痛がり方は、ふつうの癒着疝ではない。 すぐに開腹した。 開腹手術創は2箇所に化膿した痕があった。...
View Article北米の馬病院と比べてどうだい?
朝、予定を変更して飛び入りの結腸捻転の開腹。 助手を務めてくれたのは馬外科専門医レジデントのYoshi先生。 カナダのその病院では、疝痛の開腹は年に20頭ほどだそうだ。 - 午後、大腿骨骨嚢胞のscrew固定。 カナダのその病院にはX線透視装置はあるが、あまり使わないそうだ。 Subchondral Cystic Lesionのscrew...
View Article小児外科病院
午前中、5歳競走馬のTieforward手術。 競走中にDDSPを起こすようなのだ。 甲状軟骨はひどく硬かった。 - 併行して、子馬の多発性関節炎。 以前にも来院して、腰角の膿瘍切開と、飛節の細菌性関節炎の洗浄をしている。 今度は後膝と対側の飛節が細菌性関節炎を起こした。 抗生剤治療を続けているにもかかわらず・・・・ - 午後は、...
View Article脛骨近位成長板損傷のTーLCP固定
GW最終日は、 午前中、顆粒膜細胞腫GTCTの卵巣摘出。 午後は、去勢が3頭、 と卵巣1個と精巣6個を摘出する予定だった。 が、 昼に当歳馬が骨折しているとの連絡。 すぐ連れてくるように返事して、 去勢の1頭は終わらせる。 ー 脛骨近位成長板損傷だ。 準備しておいたT-LCP8孔で内固定した。 あのオッサンたちが教えてくれたようにできたか?
View Articleしあわせな1日
電話番をしなければいけない夜間当番の夜。 明け方、目が覚めて夜中に起こされなかったことに感謝する。 あ~とてもしあわせだ。 ー 朝食を食べていた5時半、当歳馬の疝痛の依頼。 開腹手術することになった。 立派な回腸纏絡だったが、ほどくと色調は回復し、切除・吻合しなくても大丈夫そうだった。 切除・吻合しなければならない腸管手術に比べて良好な予後を期待しても良いだろう。 しあわせだ。...
View Article脛骨近位成長板損傷の内固定方法の変遷 成長板損傷で考慮すべきこと
子馬は、長い骨の両側が成長板 growth plate (骨端板 physis )になっている。 そこは本来の骨の組織としては連続していなくて、軟骨で結合している。 盛んに軟骨下骨化が行われ、その部分で骨が成長する。 しかし、弱いので、大きな力がかかると当然、そこで骨折する。 それは、骨折の中でも成長板損傷と呼ばれる。 成長板の破壊の形状によりタイプ分けされている。 -...
View Article脛骨近位成長板損傷の内固定方法の変遷 その前に外貌とX線所見
子馬の脛骨近位成長板損傷で、まず「レントゲンを見てください」と言われることが多い。 診たことがある獣医さんは外貌だけでも「あ~脛骨近位成長板損傷だ」とわかると思うし、 X線撮影したなら、「脛骨近位成長板損傷です。変位は軽度です(あるいは、ひどく変位してます)」とか、手術依頼の連絡をすぐして来れると思うので、 過去の症例から、外貌とX線所見をいくつかお見せしておく。...
View Article結腸捻転警報発令
土曜日の午後2時半、種付け帰りにそのまま疝痛で運び込まれた繁殖雌馬。 超音波で肥厚した結腸壁が見えて、そのまま開腹手術。 朝から疝痛でフルニキシンを2回投与して種馬所へ行ったが、疝痛で鎮静剤を投与して帰って来た、という。 種付けに行くべきではなかったのだ。 - 入院厩舎へ行ったのが夜7時。 そのあと夜9時過ぎ、同じ牧場の繁殖雌馬がひどい疝痛との連絡。...
View Article脛骨近位成長板損傷の内固定方法の変遷 骨端に複数のscrewを
さて前置きと中断が長くなったが、子馬の脛骨近位成長板損傷を内固定する方法の変遷についての本編。 かつてはTプレートによる方法が報告され、成書にも記載されていた。 薄い骨端に2本のscrewを入れることができる。 私もTプレートを買い込んで準備していたし、子馬と子牛でやってきた。 このTプレートは横棒部にscrew hole が2つ開いているので、骨端に2本screwを入れることができる。 欠点は、...
View Article5月末、とても良い天気だった。
朝、繁殖雌馬の疝痛の依頼。 しかし、予定の手術をすましてしまうことにする。 それは、5歳競走馬の繋靭帯炎による第4中手骨骨折。 吸入麻酔で手術しようと思っていたが、手術室を空けておくためにレントゲン室で静脈麻酔で手術することにした。 麻酔も術野準備も術中X線撮影も手早くやってくれるので大丈夫。 - 繁殖雌馬は痛みが治まらず、開腹することになった。...
View Article新生子牛の蘇生
朝、難産で引っ張り出した子牛がグッタリしているのをなんとかしてくれるか、との依頼。 来院したら、立てない、鳴かない、頭もあげない、が呼吸はしている。 毛布に乗せて運んで、 気管挿管して、 吸引器で羊水?を吸引して、 デマンドバルブを着けて、酸素吸入する。 動脈血ガスでは、酸素は300以上と高くなっていたが、重炭酸がひどく低いので、輸液に重曹を混ぜた。...
View Article子馬の脛骨近位成長板損傷の変遷 Richardson教授の評価
T-LCP を使って脛骨近位成長板損傷を内固定した。 いつものように、ペンシルヴァニア大学New Bolton Center のRichardson教授に写真を送って評価してもらった。 - I think your approach and execution were excellent! Very nice job. I haven't...
View Articleポータブル撮影装置で股関節の骨折を診断できた
転倒してひどい跛行を示して1週間の2歳馬。 まだ寝起きも不自由なので全身麻酔しての大型X線撮影はしたくない。 まず腰角(腸骨結節)をポータブル撮影装置とDRで撮影した。 折れてない。 しかし、左の腰角は右に比べて出っ張り方が少ないように思えるので、腸骨体自体が変位しているのだろう。 立位で、反対側よりの股下から撮影したら 股関節で恥骨と腸骨と坐骨が離れてしまっているのが写った。...
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