前夜
今朝、相棒と散歩に出かける早朝、急患が来ているんだな、と思っていた。 定時に出勤したら、その急患は仔馬の疝痛とのこと、もうダメらしい。 外傷の急患もこれから来るという。 その外傷がこれ。 人が見ている前で他の馬に蹴られたのだそうだ。 鋭いもので切ったように裂けている。 馬の一撃の恐ろしさ。 膝のお皿、つまり膝蓋骨が削れていた。 -...
View Article忙しい海の日
昨夜は疝痛の繁殖雌馬が入院していた。 60-70-80と妙に心拍が速い。 前搔きをするので、疝痛なのだろうが、それほど強い痛みではない。 左前肢の跛行もある。 血液は、きのうはPCV44%、乳酸値は1.0~1.2mmol/l 超音波で液体で膨らんだ小腸が見えるが、完全膨満ではないし、蠕動がある。 -...
View Article子牛の脛骨斜骨折のLCP固定、発症2日目なんだけど・・・
2ヶ月弱の黒毛子牛が脛骨亀裂骨折し、経過を観ていたら完全骨折になってしまった、との連絡。 メールで画像を送ってもらい、明日手術しましょう、と言ったのだが、明日はどうしても都合が悪いとのことでその翌日に手術することになった。 完全骨折になってからキャストを巻いたけど、整復も固定もできていない、とのこと。 2ヶ月齢になると大腿部もかなり発達しているので、膝より近位までキャスト固定するのは難しい。...
View Article帰郷・夏
真夏の関西へ帰ったのは、世界獣医歯科学会が祇園祭前の京都であったときだけだ。 あれはもう10年以上前になるだろうか。 もう本州の暑さへの免疫もなくなって、耐えられない。 そして、夜明けとともにうるさいほどに鳴きはじめる蝉の声。 暑苦しさを助長する。 ////////////// 3日滞在して、夜遅く帰ってきた。 北海道は涼しい。...
View Article尺骨粉砕骨折のdouble LCP固定
繁殖雌馬が他の馬に蹴られて尺骨を骨折した。 発症翌日にx線検査で判明し、メールで画像と所見が送られてきた。発症の2日後に手術することにした。 この症例は手術前にRichardson教授にメールを送ってみることにした。 回答が間に合うかどうかわからなかった。 ひょっとすると、「粉砕骨折なので無理だ」と言われるかもしれないとも考えていた。 -...
View Article尺骨粉砕骨折のdouble LCP固定 2
Dr.Richardsonのアドヴァイスどおりできるだけ破片をsmall screwで留める。 しかし、留めれたのは1,2の2本の4.0mmキャンセラススクリューくらい。 尺骨頭を整復しないと、合わせるものも合わせられない。 11穴ナローLCPを尺骨の尾側に合うように曲げておいて、まず尺骨頭部に留める。3;皮質骨スクリューでLCPを骨に押し付ける。 4;LHSで頑丈に。...
View Article尺骨粉砕骨折のdouble LCP固定 3
例によって、尺骨粉砕骨折のdouble LCP fixationをRichardson教授に評価してもらった。 これは素晴らしい努力であり、よくできているかもしれない。 君のemailから、その繁殖雌馬が立てなかったので君はあきらめたのかと思った。 それは手術ではどうしようもないことで、どんな生き物にも起こる。 長時間の麻酔や、循環不全、その他に二次的に起こる問題だ。...
View Article背中の怪我
1歳馬が洗い場で立ち上がって背中を壁の金具にぶつけて怪我した。 き甲の皮膚が切れて、胸椎棘突起を覆っている棘上靭帯が切れている。 深くポケットになっている部分もある。 枠場に入れて、縫うことにする。 棘上靭帯を0 monocrylで十字縫合する。 私は今まで何頭か胸椎棘突起が衝突する症例で、この部分を切開して骨を削る手術をしてきたので、縫合も経験がある。 皮下織も縫合して死腔を減らす。...
View Article汚れた外傷をどうやってデブリドするか
全国の若い獣医さんが集まる講習会に今年も呼ばれて行ってきた。 ヒツジ、ヤギ、ダチョウ、シカ、と馬;笑 講師も臨床獣医師は私だけ。 今年は参加者はNOSAIの獣医師ばかりだった。1名だけ某軽種馬生産者団体から;笑 - 馬を診る機会がある人に手を挙げてもらったが、北海道を除けばほとんどなし。 馬に乗ったことはほとんどの人があるようだった。...
View Article第一指・趾骨の血管孔
私もときどきだまされそうになるので書いておこう。 この馬の第一指骨の背側皮質にある”亀裂”。 この馬の第一指骨の掌側皮質にある”亀裂”。 これは血管孔である。 エッ?信じられない? JRAで翻訳してくれているClinical Radiology of the Horse. 背側にも掌側にも血管孔が写ることがあることが図示されている。 背-掌方向撮影でも写ることがある。 まだ納得できない?...
View Article頚、頚、肢、肘、胃、肩、そして腸
きのうは、この難しい緊急手術のためにヘロヘロだった。 とても難しく、自分ひとりが熟練しても満足がいくようには達成できそうにない。 しかし、Dr.Richardsonは、「私は君より経験があるので(レジデントとインターンとでも)できる」とおっしゃる。 まあ、むこうのレジデントはかなりのものなんだろうけど。 -...
View ArticleRhodococcus equi感染症仔馬3例
2ヶ月齢の子馬が呼吸困難になり、翌朝には死亡したとのことで剖検。 突然、肺の充血鬱血を起こして呼吸速迫になるタイプの肺炎のようだが・・・・ よく観ると胸膜面にも横隔膜面にも膿瘍がある。 肝変化したことで呼吸困難になったのだが、 Rhodococcus equiに感染していたことと無関係ではないと思う。 腸管のリンパ節も数箇所で化膿していた。...
View Articleこじれた「砂のぼり」
この冬から春先は雪が少なくて、放牧地が固くて、「砂のぼり」が多かったのかもしれない。 なんでもなく治るのがほとんどなのだが、こじれるとその後も痛みを繰り返すことになる。 蹄の中に異常な角質ができて、感染の再燃を繰り返すのだ。 あるいは、本当に「砂」が入ってしまったりしているのかもしれない。 x線検査で見当をつけて感染巣まで掘るしかない。...
View Article打撲による管部の挫創
土曜の夜に、当歳が「管」部を切っているので診てほしい、との依頼。 到着時間を聞いておくが、その時間になっても来ない。 早めの時刻を言わなくても断ったりしないのに。 すぱっと切れているように見えるが、実は上から下へひどくぶつけたらしい。 すっかり腫れて、球節の前までいくつもの傷になっていて、球節も腫れている。 前肢なので立位でなんとか縫えるだろう。...
View Article繁殖雌馬の橈骨遠位骨折
繁殖雌馬が目の前で転頭して骨折してしまった、とのこと。 駆けつけた獣医師から電話があったので、厚くバンデージを巻き、添え木で固定して来院するよう指示する。 橈骨遠位部のようだ。 成馬の長骨骨折で、粉砕しておらず、開放骨折ではなく、内固定できるような骨折をすることは少ない。 来院して、トラックの中でバンデージの上からx線撮影した。 橈骨遠位部での骨折。...
View Article寛骨(骨盤)のX線撮影
仔馬の跛行を診たら一番疑わなければならないのは「感染」による跛行だ。 細菌性関節炎、蹄の感染、細菌性腱鞘炎、骨髄炎などが多いし、その場合少しでも早く抗生物質投与を始めることが予後を左右しかねないからだ。 当歳馬は特別感染に弱いから、と思われているが、1歳馬、まれに2歳馬でもありうる。 もちろん成馬でも。...
View Article子牛の化膿性臍帯炎
1ヶ月齢の黒毛和種子牛。 臍からの膿が治療しても止まらないとのことで、手術のために来院。 気管挿管して手術台に乗せている。 プロポフォールを点滴している。 自発呼吸が止まって肝を冷やす。 デマンドバルブはとても有効。 それも気管挿管しているからの話。 臍の化膿は例によって膀胱の方へつながっていた。 大網が癒着していた。 全国的に、こういう症例はどうやって治療されているのだろう。...
View Article仔馬の中足骨近位骨幹横骨折のdouble LCP固定
昼夜放牧している子馬が、朝、中足骨を骨折しているのが発見された。 担当の獣医師がフルリムキャストを巻いて、来院。 中足骨近位骨幹部骨折だ。 骨折部の形状としては横骨折でいいだろう。 骨折部はフルリムキャストの中でずれてしまっていた。 骨折を起こしてから時間も経っていたのかもしれない。 骨折線は磨かれて、ピタリと合うとはいかなかった。 皮膚の一部には穿孔創があった。 すこし破片もある。...
View Article仔馬の中足骨近位骨幹横骨折のdouble LCP固定 2
例によって、ペンシルヴァニア大学D.W.Richardson教授に内固定の画像をおくって評価してもらった。 - 画像がとても解像度が悪いので多くを述べるのは難しい。 (縮小しないjpeg画像で送っているだが、あちらでは縮小された画像しか見られないらしい。どうしてだろう? 以降は画像をパワーポイントに貼り付けてファイルとして送ることにした。)...
View Article腕節掌側の骨片摘出
いつもの川へ行って、夏休みして来た。 こども達も仕事や実習やクラブや宿題があり、都合がついたのは盆休み最盛期の土曜日曜だけ。 それでも日高山脈のゴルジュの中は誰もおらず貸切りだった。 なんで不便な生活がこんなに楽しいんだろうね。 /////////////// 休み明けは、種子骨骨折の関節鏡手術。...
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