重症のフレグモーネor血栓症→敗血症、トキセミア、頭部外傷
5日ほどフレグモーネで治療していたが、痛みがひどく、患肢を下にすると立てなくなり、死んでしまった、との妊娠馬の剖検。 これは大腿部。 皮下織は出血性。 飛節周囲には皮膚が破れた部分もあった。 悪臭がした。 よほど性質(たち)の悪い病原菌に負けてしまったのか、と思いながら、 筋層まで切ってみたら、 内股の太い動脈が血栓で完全に閉塞していた。...
View Articleブログ馬医者修行日記10周年
2006年2月26日に始めたこのブログ。 10周年でした。 忘れてた;笑 - 今日は、 11ヶ月の黒毛和牛の下顎腫瘍の摘出手術。 胸膜肺炎の上がり馬の胸腔穿刺。 午後は、競走馬の腕節chip fractureの関節鏡手術と去勢。 夕方から、分娩後の繁殖雌馬の結腸捻転の開腹手術。 ////////// 26日は神戸にいた。 梅の花が満開だった。
View Article結腸捻転・関節鏡手術・LCP固定手術・スクリュー抜去・去勢・尿石症
ゆうべの結腸捻転は軽症だった。 結腸動脈周囲に膠様浸潤があるので循環障害を起こしていたことがわかる。 直腸検査でも、その結腸動脈周囲の浮腫を触知できたので、手術を決断できた。 結腸壁もわずかに肥厚していたし、色調も捻転を整復するまでは良くなかった。 - 朝、6時前にその入院馬を治療して、日中の内固定手術の準備をする。 9時からは競走馬の腕節の関節鏡手術。...
View Article外傷縫合
牧柵へ突っ込んだそうだ。 大胸筋も切れてしまっていた。 断面にはもう血が止まっている血管の断端が何本もぶら下がっていた。 二人がかりで縫って、2時間半かかった。 関節鏡手術や喉の手術より時間がかかる。 こういう傷でも皮膚を縫うときに一番痛がる。 枠場で立ち上がるほど暴れたので、3度目の鎮静剤を投与した。 今度は、枠場にもたれかかってしまうので枠場から出して縫合を仕上げた。...
View Article剖検の嵐
今日は、午前中1歳馬の飛節OCDの関節鏡手術。 続いて剖検の嵐! 2歳馬の喉嚢肉芽腫。 分娩後の繁殖雌馬の子宮動脈破裂が2頭。 高齢馬の大腿骨骨折。 黒毛和牛の小腸・盲腸・結腸の腸間膜を軸にした捻転。 さらに、予定日を過ぎた繁殖雌馬が来院したが、十二指腸破裂で予後不良。 緊急に帝王切開して子馬だけでも助ける。 - 午後は、予定の2歳馬の「肩」跛行。...
View Article馬の子宮捻転
朝、18歳の空胎の繁殖雌馬が疝痛で来院。 早朝からかなり痛かったそうだ。 超音波検査では膨満した小腸が1-2本見えるとのこと。 「有茎脂肪腫が巻きついたかもしれないね」と疫学的診断。 - 入院厩舎へ入れて様子を観るが、やはり転がるほど痛いので手術を決断した。 有茎脂肪腫が空腸の一部を絞扼していた。 2m切除して吻合する。...
View Article一晩に腸管手術を2頭
午後、繁殖雌馬の前夜からの疝痛の診療の依頼。 しかし、Tieback&Cordectomyを始めるところだったので、その後に診ることにする。 4時に来院したらまだ疝痛を示していて、血液も正常ではない。 すぐに開腹することにした。 - 分娩1ヶ月後で授乳中の母馬だが、結腸便秘から結腸捻転を起こしたようだった。...
View Article分娩徴候がない帝王切開仔はなぜ助からないか?
十二指腸破裂の母馬から緊急帝王切開して引っ張り出した子馬。 すでに予定日を1ヶ月ほど過ぎていたので可能性はあるかと考えた。 - 帝王切開してもすぐには臍帯を切らず、母馬にオキシトシンを投与して、子宮が収縮するのを待った。 臍帯を切り離し、気道内を吸引して羊水を排泄させた。 気管チューブを挿管して酸素吸入した。 感染予防に抗生物質も投与する。...
View ArticleUC DavisのMadigan先生の新知見
もう20年以上前、1ヶ月のUSA研修に出してもらった。 選んだ研修先は、カリフォルニア州立大とフロリダ大学。 どちらも馬の診療件数が多く、学術報告が多く、新生仔学で成果をあげていた。 カリフォルニア大学Davis校ではMadigan准教授はその週の診療当番ではなかった。 しかし、何度か彼の診察の様子を観ることができた。...
View Article膵臓障害のミステリー 4 2歳馬
先日、疝痛で開腹手術した2歳馬。 血液検査はさほどひどくないが、超音波検査で小腸が膨満していて、かなり痛いとのことで、手術を決定して私が呼ばれた。 開腹すると、小腸が気脹していた。 盲腸から引っ張り出したいので、盲腸を探すが、一部は触れるものの引っ張り出せない。 しかたがないので、小腸を腹腔外へ出し、内容を推送した。 かなり大きく開腹創を広げて、大結腸を創外へ出した。...
View Article(不適応症候群の新生子馬を)自閉症のこどもになぞらえる
UC DavisのMadigan教授の新生子馬の行動異常の研究について、UC DavisのHPから - 「(新生子不適応症候群の)これらの子馬の行動上の異常は自閉症のこどものいくつかの症状と類似しているように思われます。」 とUC Davisの獣医学教授のJohn Madiganと馬新生仔学の専門家は述べている。...
View Article不適応子馬症候群
引き続きUC DavisのHPから - 新生子馬で、新生子不適応症候群 neonatal maladjustment syndrome あるいはダミーフォールとして知られている障害が起こるのは生きて生まれた子馬の3から5%だけである。 しかし、そうなったときには、あるサラブレッド生産者は”悪夢だ”と言った。...
View Article妊娠末期の腹囲膨満、発汗、チアノーゼ
朝、分娩予定1ヶ月前の繁殖雌馬の診療依頼。 発汗し、呼吸速迫で、チアノーゼもある、とのこと。 ・・・・・一番の推定診断は、消化管破裂だ。 消化管破裂だと母馬は予後不良だし、分娩予定まで1ヶ月以上で分娩徴候もないとなると子馬も助かる見込みはない。 - 診断の用意をして待つ。 来院したら、発汗、心拍90、鼻翼開帳呼吸。...
View Articleしかし、酸素不足が犯人なのか?
引き続きUC DavisのHPから - 酸素不足が犯人なのか? しかし、奇妙なことに、新生仔不適応症候群のほとんどの子馬は試練を乗り越えて生存し、後遺症は残らない。 このことから低酸素がこの症候群の原因なのかどうかという疑問が起きてくる。そして、MadiganとUC Davisの獣医神経学者Monica Alemanは他の可能性のある原因を探り始めた。...
View Article生化学的”ON スウィッチ”
引き続きUC DavisのHPから。 - 短く言えば、子馬が産道に入るのと、子宮から出るときの間のどこかで、生化学的な”ONスウィッチ”がパチンと入って、子馬が母馬を認識し、乳を飲み、そして動けるようにならなければならない。 MadiganとAlemanは出生過程での物理的な圧迫が重要な信号かもしれないと推測している。...
View Article神経ステロイドが血流に残っている
引き続き新生仔不適応症候群について、UC DavisのHPから。 - 神経ステロイドが血流に残っている さらに、研究者たちのチームは当初、鎮静作用を示す神経ステロイドが残っており、不適応症候群の症状を示して生まれた子馬の血中ではしばしばそのレベルが上昇していることを見つけた。...
View ArticleMadigan Foal Squeeze Procedure マディガンの子馬スクイズ手技
引き続き子馬の不適応症候群は虚血性低酸素性脳症ではないのではないか?についてUC DavisのHPから。 - Madiganの子馬スクイズ手技 研究者たちは、子宮内での睡眠のような状態から、出生時の覚醒へ移行させるために不可欠な、中枢神経系における生化学的変化の引き金を、圧迫が引くのではないかと考えている。...
View Article4月の腸管手術
ばたばたと開腹手術が続いた2月末から3月はじめを経て、この1週間ほどは平和だった。 しかし、分娩シーズンも最盛期へ向かうので、このまま続くわけはない。 - 私は、1996年(平成8年)、つまり20年前から疝痛による来院のリストをファイル化してきた。...
View Articleヒトの赤ちゃんの’カンガルーケア’
今日来た畜主さんから、「早く続き書いて」と嬉しい催促;笑 で、引き続きUC DavisのHPから。 - ヒトの赤ちゃんでの”カンガルーケア”を鏡に 触覚圧迫が新生児にも重要であると思われる逸話的な証拠の例がヒト医療にあります、とMadiganは述べた。...
View Article子宮捻転による難産
夜、サッカー日本代表のアフガニスタン戦を寝落ちしながら観て、その後、寝入りばなを難産で起こされた。 予定日まで2週間ある繁殖が、頭も前肢も来ていなかったのを、片前肢だけ直したが出ない、とのこと。 来院したら、産道が傷ついていて出血している。 すぐにプロポフォールで全身麻酔する。 後肢を吊り上げて、もう片方の前肢も直し、頭も鼻から産道に入るようにして、あとは引張るだけ・・・・...
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